ピンチをチャンスに変える専門人材の外部補強
23andMeは、FDAとの対話を継続的に行って関係修復を図ると共に、顧客から2次利用の許諾を得た遺伝子データをベースとするゲノム創薬事業を早期に立ち上げる方針を打ち出し、ライフサイエンス、医薬品、そして医療機器業界のエキスパート人材を補強していった。
2014年4月には、臨床開発や医療機器業界での実務経験を持つ弁護士のキャシー・ヒブス氏がチーフ・リーガル・アンド・レギュラトリー・オフィサーに就任し、医師で分子遺伝病理学者のジル・ヘイゲンコード氏がチーフ・メディカル・オフィサーに就任した。また2015年3月には、長年、スイスの医薬品企業ロッシュ・ホールディング傘下のジェネンテックで、研究開発担当上級副社長を務めたリチャード・シェラー氏がチーフ・サイエンス・オフィサーに就任することを発表している。
創薬分野では、2014年7月、米国国立衛生研究所(NIH)の助成金を受けて遺伝子解析目的のWebデータベースと検索エンジンの開発に着手することを発表し、同年8月には、ファイザーと共同で炎症性腸疾患(IBD)の原因解明に関する研究の計画を発表、さらに2015年1月、ジェネンテックと共同でパーキンソン病のゲノムデータ解析に関する研究の計画を発表するなど、人材補強の成果が具体化してきた。
グローバルレベルの規制対応から創薬事業への拡大を目指す
医療機器・医薬品の場合、国・地域によって、申請から承認・販売開始までのタイムラグが存在する。23andMeの対応策の特徴は、遺伝子検査サービスの早期販売再開に向けて、米国だけでなく欧州でも承認申請を開始した点だ。