2014年12月、英国医薬品・医療製品規制庁より、EU域内での販売に必要な欧州医療機器指令に適合していることを証明する「CEマーキング」を取得し、英国でのPGS事業を開始した。翌2015年2月、米国FDAより、遺伝子修復異常症のブルーム症候群について、遺伝子検査キットの販売許可を取得し、限定的ながらPGSの米国内販売再開にこぎつけたのである。

遺伝子の変異に起因するものが多い希少疾患の1つが前述のブルーム症候群であり、患者数を把握すること自体難しいのが現状だ。23andMeの遺伝子検査によって早期発見が促進されれば、社会的貢献度は大きい。加えて、ニッチ市場と目されていた希少疾患用医薬品の領域に、メガファーマが相次ぎ本格参入しており、創薬の観点からも遺伝子検査への注目が高まっている。


ゲノム解析とiPS細胞研究の橋渡し役としての期待

日本でも、遺伝子修復異常症の実態調査や早期診断法の確立に関する研究が実施され、最近はiPS細胞を用いた病態解明・診断法や治療法の有望分野として注目されつつある。

23andMeに対抗して、日本からゲノム解析とiPS細胞研究の橋渡し役を果たすプレイヤーが輩出できるか否かは、遺伝子検査業界のみならず、政府が主導する健康・医療の成長戦略にとっても大きな課題だ。

笹原英司(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身、千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B・B2C)および健康医療、介護福祉、ライフサイエンス業界のガバナンス・リスク管理関連調査研究・コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所などで、Health-Techスタートアップに対するメンタリング活動を行っている

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