(写真=HPより)
居酒屋チェーン「和民」などを展開するワタミ <7522> が迷走している。
近年の業績低迷を受けて、2014年に同社が掲げたのが「安いだけのチェーン居酒屋」という従来のイメージを一掃する「リブランディング」戦略だった。このリブランディング戦略は、安全・安心な国産食材にこだわった上質なメニュー開発など「ワタミならでは」の価値で最近流行している「専門居酒屋」に対抗しようという施策だ。
それまでも皿単価を上げて付加価値を提供するという戦略のもと、この10年間で値上げを続けてきたが、「リブランディング」戦略のもと、15%単価を上げて、付加価値の高い商品を提供しようとした。
その結果、自社のアンケートでワタミは「料理が遅い」、「量が多すぎて注文できない」、「価格が高い」と指摘された。実際に、消費者調査ではチェーン居酒屋に求めるものは「安さ」、「美味しさ」、「バラエティ感」が挙げられている。また「割高と感じる居酒屋チェーン」としてワタミが1位と2位を独占してしまっていた。
ワタミを利用している年齢構成比は20代、30代で60%弱だが、この主要顧客層に対して取ってきた戦略がこの結果を招いている。個人店の業態を目指しての移行であったが、顧客の認識は「和民はチェーン店」だった。
また、同時期に二度ほど行った「フラッシュマーケティング」も一時的な集客としてしか機能せず、むしろその後客足は遠のいたのだった。