顧客視点の「付加価値」を

そもそも、ワタミの「リブランディング」戦略とは何だったのだろうか。一見耳触りはいいが、清水社長の会見から読み取れるのは、顧客の期待とワタミへの認識のギャップを埋める代償として価格を一気に15%上げたが、反発を受けたので「企業努力」として価格を下げる、ということだろう。

ここで決定的に欠けていると思われるのは、顧客からワタミがどのような価値を感じてもらうのか、どのような理由で財布のヒモを緩めてもらうのか、という視点ではないだろうか。

単なる低価格化による集客アップと効率化による利益率の向上を目指すのは、企業側の論理でしかない。奇しくも会見で社長自ら、チェーン居酒屋に求められるものは「安さ」、「美味しさ」、「バラエティ感」だと述べているが、ワタミが提供する「付加価値」の本質はどのように判断されていたのだろうか。

「安さ」とは、単なる低価格を指すのではないとワタミも重々分かっているはずだ。それでも業績低迷を招いたのは、「安さ」を提供する相手である顧客の理解を誤ったためといえるだろう。ブラック企業とのイメージもマイナス要因だろうが、その本質は、企業側の論理と事情だけで行った値下げの割りを食うのは従業員ではないか、という顧客の反応だった可能性もある。

昨今では、ファストファッションになどが例に挙げられる低価格カテゴリーでは、生産している新興国での低賃金かつ過酷な労働という犠牲によってその低価格が実現されていると知れ渡っている。ワタミも同じように、低価格化はそのまま従業員にしわ寄せがいくと受け取られかねない。そのような顧客の感覚に敏感であったのか、それを払拭する施策を打ったのか、という疑問が湧く。

ワタミは付加価値政策と価格 政策で、顧客視点での判断を同時に見誤り、結果として利益の源を失った。再度「リブランディング」するには、企業側の理屈ではなく、顧客視点での「付加価値」を軸にするべきだったのではないか。(ZUU online 編集部)

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