窮地に陥った「すき家」一転して黒字化を達成できた理由

すき家を運営するゼンショーホールディングス <7550> の業績は、今年2月には4~12月の連結決算で25億円の赤字であると発表されたばかりだ。

しかし、ここへ来て急回復し黒字化を達成するとの見通しが再度発表され、その内容が話題を呼んでいる。

ワンマンオペレーションに対する不満から深夜勤務者の退職が続出したことにより、アルバイトスタッフの確保ができなくなり、大幅に店舗の一時閉鎖が響いていたすき家が、その主要飲食店として有名な存在だ。

しかし、同社はすでに牛丼のみならず、レストランやファーストフードなど16もの飲食事業ブランドを所有する企業である。はたして、何が大幅な黒字改善に寄与したのかを探ってみたい。


売上高、営業利益、経常利益ともに改善し黒字化

同社が発表した2015年3月期連結決算の修正額は、売上高が5,092億9,100万円から5,113億600万円へと増収、営業利益は-17億7,400万円から26億6,500億円へと大幅プラス、経常利益は結果として-24億1,100万円から23億7,700万円へ大幅プラスに修正されることとなった。

ただし海外子会社の株式譲渡損失146億円を計上することから冬季赤字幅は一時的に拡大し-102億9,000億円の見通しとなる。同社の発表によるとすき家の収益改善が全体の収益改善につながったとされている。

やはり大幅赤字の原因をつくっていたのはすき家の店舗閉鎖による業績不振であったというわけだ。そしてこれに一定の回復めどが立ったことが今回の大幅黒字転換のファクターとなっている。


深夜一時閉鎖店舗の再開が収益の押し上げに

2014年10月の段階では、すき家の深夜閉鎖店舗は全体の6割となっていたが、アルバイトの待遇改善の実施が功を奏し、今年3月末には全体の3割に相当する601店舗にまで減少する見通しであることを、ゼンショー側は明らかにしている。

再開して間もないため売上げの押し上げ効果は限定的ながら、収益はこれにより大幅改善していることがうかがえる。夜間の営業が、予想以上に収益の回復にプラスに働くことがよくわかる状況だ。