東京
(写真=Thinkstock/Getty Images)

日本は2005年を境に人口減少社会へ突入してから、早10年が過ぎ、様々な産業が人口減少を前提に展開しつつある。不動産の中でも、特に賃貸業は人口密集を前提としている産業だ。人が少なければ土地が余っているため、不動産が安くなり買う人が多くなる。

一方で人が多すぎれば土地が少なく、不動産が高くなり借りる人が多くなる。そのため人口増加は不動産賃貸業を成り立たせる根本的な要因と言ってもいい。国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の地域別将来推計人口には、2040年の各市区町村の人口予想が含まれている。

日本の賃貸事業をリードしてきた東京であるが、今後どのような変化を遂げるのかみてみよう。


東京都全体の人口動向はどうか

まず、東京都全体の人口動向をみてみる。東京都も2015年をピークに人口は減少に転じる(出展①、以下も同出展)。2015年の東京都の人口は1,330万人であり、生産年齢の割合は66%、高齢者の割合は23%だ。

一方、2040年には、人口が1,230万人(対2015年比8%減)、生産年齢の人口は58%(対2015年人口比19%減)、高齢者の割合は34%(対2015人口比34%増)と予想される。東京都全体の人口は8%程度の減少であるが、生産年齢の人口が19%も減るため、オフィスの賃貸需要が人口減以上のスピードで下がっていくものと考えられる。


減少率ランキング

さらに都内の中で2040年の人口減少率が高い市区町村はどこであろうか。減少率のランキングで見ると、1位奥多摩町58.6%減、2位檜原村52.1%減、3位八丈町40.9%減となり、多摩地域や伊豆諸島地域がトップ10を占めている。不動産業界として気になるのはやはり23区のランキングだ。23区内で言うと、1位足立区21.3%減、2位葛飾区19.2%減、3位杉並区15.5%減、4位北区14.5%減、5位中野区13.8%減と続いている。


元々賃貸需要の高くないエリアが多い

23区内の予想下落率トップの足立区は、今でも賃貸需要はそれほど高くはないが、足立区の中でも北千住や西新井といった一部のエリアは今でも住宅地として人気がある。

2040年には「北千住や西新井」と「それ以外の街」ということで同じ区内で賃貸需要の強弱が明確化することが予想される。2位の葛飾区も賃貸需要は低いエリアだ。

綾瀬、亀有、金町と言った常磐線沿線が今後どれだけ開発されるかがポイントになりそうだ。4位の北区の賃貸需要もそれほど高くない。西ヶ原や滝野川と言った人気の住宅地もあるが、既成市街地であるため大規模な開発に乗り出しにくいため、人口増が望めないことが伺える。


杉並区や中野区はどうか

JR中央線沿線である杉並区や中野区が3位と5位にランクインしているのは意外だ。根強い賃貸需要を誇るJR中央線沿線でもあるが、それでも人口減少率の高い区に分類されてしまう。JR中央線沿線はとても人気があるため、駅から徒歩15分圏内でも賃貸マンションの借手が現れる。人口減少が続けば、やはり駅から遠い物件から淘汰されていくだろう。駅から徒歩10分超の物件は早めに対策を打っておいた方が賢明かもしれない。


増える市区町村もある

今回は都内の人口減少エリアにスポットを当ててきたが、一方で2040年に人口の増える地区もある。上位からランキングすると、1位中央区14.4%増、2位稲城市+9.4増%、3位江東区8.5%増、4位港区5.2%増、5位三鷹市1.8%増となり、中央区や港区の都心3区がランクインしている。人口が減って全体的に土地が安くなれば、職住が近接するため、ますます都心への流入が多くなる。

また大規模開発が続く湾岸エリアの江東区も3位にランクイン。中央区、港区、江東区あたりは今後も賃貸マンションの投資エリアとしては安定的な魅力がありそうだ。


立地はますます重要に

全体としては、東京といえどもこれから人口は減る市区町村の方が多いため安泰とは言えない。そうした状況の中で、立地がますます重要になってくる。投資物件の選び方も、まず立地ありきで検討するのが良いだろう。

(提供: Leeways Online

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