(写真=PIXTA)
今年下半期の米経済に市場の関心が集まっている。今回は、1‐3月期のマイナス成長を跳ね返し、力強く成長できるのか、ギリシャ危機と利上げに対する市場の極端な反応などの不確実性要因も加味しながら検討していきたい。
昨年下半期並みの、予想を上回る成長確保のカギは米経済成長の70%以上をけん引する消費である。まず、1‐3月期の米国内総生産(GDP)は、先に発表されていた暫定改定値0.7%のマイナス成長から、最終改定値では0.2%のマイナス成長にとどまった。
モルガンスタンレーのストラテジスト、アダム・パーカー氏は、「米GDPの1‐3月期最終改定値を見ると、現在の4‐6月期成長予想は低すぎる」と指摘している。厳冬やドル高にもかかわらず、米経済の成長力は強いと解釈している。
一部のエコノミストは、下半期の成長を強気に3%と見ている。BMOキャピタル・マーケッツのエコノミスト、サル・グアティエリ氏も「下半期成長3%説」を唱える一人だ。その理由は「上半期に見られたドル高と石油業界の落ち込みの悪影響が後退するから」としている。
一方、モルガンスタンレーのエコノミスト、テッド・ウィーズマン氏は、「最近の強い消費傾向を見ると、上半期のガソリン価格下落で節約できたお金を人々が今になって使い始めていることが分かる。消費者の所得・借金・富などの状況は全般的にポジティブであり、消費はさらに強くなっていくだろう」と予測した。
投資家向けの専門家のアドバイスも楽観的なものが増えている。投資コンサルティング会社フォワードのチーフストラテジストであるネーサン・ロウェーダー氏は、「今年下半期の投資家の心配のタネは、あまりないと言ってよい」とまで言い切っている。
著名ストラテジストのボブ・ドール氏も、「過去6週間の消費の回復に加え、雇用指標・小売データ・住宅販売などが好調であり、米企業業績を押し上げ、それが下半期の米株式市場を堅調なものにする」と述べた。