今年1月から7月までのアパレル小売業の倒産件数は、前年同期比 19.5%増の104件となり大幅に増加したことが、帝国データバンクの調査で明らかになった。昨年までは2年連続で減少していたが、一転して増加の兆しが出ている。円安傾向が続く中、消費の回復が進んでおらず、アパレル業界では円安で企業コストが上がる一方で価格転嫁がしづらい状況が続いていることがあるという。
帝国データバンクの調査によると、今年1〜7月のアパレル企業の倒産件数は176件で前年同期より6%増加した。そのうち小売業が104件で、卸売業では72件だった。卸売業は前年同期よりも減少したものの、小売業の倒産は2000年以降最多のペースで推移しているという。
背景には、消費の回復が思うように進んでいないことがあるようだ。総務省が発表する家計調査報告によると、「被服及び履物」に対する支出は4~5月はプラスに転じたものの、6月はマイナス13.3%と再び2ケタの減少に転落した。帝国データバンクは卸売業よりも小売業の倒産件数が多いことも、消費環境がアパレル関連業界の倒産動向に与える影響が大きいことがうかがえると分析する。
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また、負債総額の動向をみると、アパレル業者の負債総額は、1月から7月までで317億6400 万円となり、前年同期比で16.4%増えた。特に卸売業で前年同期比49.4%増の約183億円となり、前年同期に比べ1.5倍に増加した。小売業は10.7%減の約134億円だった。負債規模別に見ると、小売業で「5000万円未満」の構成比が減少しているのに対し、「5000万円以上1 億円未満」の構成比が25.0%と3 年で10ポイント上昇した。
1〜7月までの主な倒産事例では、小売業ではサーフブランドを手掛けていたたカジュアル小売のアートヴィレッヂが最も負債額が多く、40億7500万円だった。卸売業ではアウトバーンで負債額は31億7600万円だった。
今後の見通しについて帝国データバンクは、5月には1ドル=125円まで円安が進んでおり、今後の秋冬物シーズンの商戦期に向けて円安の影響が本格化すると予想する。「海外生産が多数を占めるアパレル企業にとって、価格転嫁が難しいなかで円安がコスト増加要因となり、今期のアパレル小売業者の決算に影響を及ぼす」と分析している。(ZUU online 編集部)
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