不動産取引件数
不動産投資市場では、取引件数が先行的に変化し、不動産価格サイクルの先行指標になると指摘されている。実際、取引件数は1999年や2006年に、取引金額のピークよりも1年早く頭打ちとなっている(図表-8)。
サイクルの上昇局面では、取引件数と金額が共に拡大し、加えて、サイクルのピークには、大型取引が増加する傾向がある。過去のサイクルのピークには、リスク許容度が拡大した機関投資家による大規模投資や、財務基盤が改善した不動産会社による大規模な再開発プロジェクトなど、様々な象徴的な投資が実施されてきた。
2014年は、取引金額の伸びが継続する一方、取引件数が横ばいに移行し、過去のピーク時によく似た状況となっている(図表-8)。加えて、国内の大型不動産取引上位10件をみると、明らかに巨額の取引が増加しており、1,000億円を超える案件が6件にも及んだ(図表-9)。
ただし、年次では2014年に頭打ちの様相を示したものの、直近の不動産取引件数は、2014年第4四半期と2015年第1四半期に再び拡大し、第2四半期も高水準となっている(図表-10)。今後、再び拡大傾向に戻るか、ピークアウトが明確となるか注目される。