物価と人民元
◆インフレは低位に留まる
15年1-7月期の消費者物価は前年同期比1.3%上昇と、14年の前年比2.0%上昇より0.7ポイント低く、抑制目標(3.0%前後)を大きく下回っており、インフレは低位に留まっている。また、生産者価格(工場出荷)は前年同期比4.7%下落と、14年の前年比1.9%下落を2.8ポイント下回っており、原油安を背景に下落の勢いが再び加速してきている(図表-14)。
◆販売持ち直しで住宅価格は底打ち
住宅価格は販売の持ち直しを背景に底打ちした。中国国家統計局の公表データを元に、当研究所で住宅価格(70都市平均)を計算したところ、15年4月をボトムに3ヵ月連続で上昇した模様である。11-12年頃の水準(デッドライン)を下回ると住宅バブルが崩壊する恐れもあったが、その懸念はひとまず遠退いた(図表-15)。
◆人民元の調整
中国人民銀行は8月11日、人民元の対米国ドル為替レートの中間値(基準値)の市場化と基準性を高めるため、中間値の形成メカニズムを改善すると発表した。この措置により、市場実勢と基準値の乖離がほぼ解消、基準値の透明度は飛躍的に改善した。
一方、この措置を受けて11~13日に人民元が急落した(基準値で約4.5%、市場実勢で約3%下落)。この措置を実施すれば市場実勢が下落することは明白だったことから、輸出に配慮したという側面もあるだろう。但し、アジア通貨間での人民元の割高感はやや縮まった程度で、輸出への好影響は限定的だろう(図表-16、17)。