上海のショッピングモール
(写真=Thinkstock/Getty Images)

中国では7月と8月、学校が夏休み。中産階級の中国人は海外旅行に行く人たちを除けば、たいてい家族と一緒に1週間前後の国内旅行に出る。今夏、国内観光客たちがおとなしい。観光地につきものだった傍若無人なふるまいのエピソードがあまり聞こえてこない。経済の先行き不透明を察知し、考え込んでいるのだろうか。


ショッピングセンターの建設ラッシュ

上半期の個人消費に関する指標に問題はなかった。たとえば山東省・青島市。中国の都市分類では「二線級、副省都級」に当たる同市は沿海部に位置し、人口1000万人目前。農業、工業に加え、観光業も盛んだ。中国全体の傾向を示すサンプルとして好適だろう。

同市の上半期GDPは4187.7億元で、前年同期比7.8%の伸び。全国平均7.0%を上回っている。「社会消費品小売総額」という項目は、1729.8億元で同10.1%の伸び。細目別ではそれぞれ、ホテル・飲食10.7%、食品11.1%、服装・靴・服飾8.9%、自動車11.1%、家電19.8%の伸びだ。実店舗の売上が7%アップだったのに対し、ネット通販は40%伸びている。

ここで忘れてはいけないのは、売場面積は大幅増加していることだ。2014年の世界ショッピングセンター建設ランキングで、都市のトップ10のうち9都市までが中国だった。ナンバー1の上海市は、1年で売場面積が410万平方メートルも増え、「オーバーストア状態」に陥っている。

他の大都市、中都市もおおむね同様だ。小売業界はすでに効率が下がってしまっており、調整の段階に入っている。万達百貨店やマレーシア系のパークソン百貨店では、不採算店舗の閉鎖に大ナタをふるい始めた。ウォルマートも店舗網の見直しに着手、イオン <8267> でも、早くから店舗網を形成した、広東・山東両省ではスクラップ&ビルドを始めている。


中国的要因

青島市の数字を信じる限り、個人の消費意欲は衰えていない。新聞にも消費不況を思わせる記事は見られない。今年上半期の特殊要因としては、株式高騰で生まれた「にわか金持ち」たちが消費に貢献したということはあるだろう。

問題は6月株式市場の暴落以降、下半期の見通しだ。中国の2014年の全国平均給与所得は年間49,969元、約100万円だ(中国国家統計局)。ただ国内では「こんなにもらっていない」「社会の実態を反映していない」という声が大きい。


「社会的な地位は低いが金持ち」が多数 “裏資産”

しかし実は中国には“ブラック”な部分が多い。社会的な地位や組織内の地位と収入に相関関係がない。「社会的な地位は低いが金持ち」という人がごまんといる。非正規の収入源を持つ人がたくさんいるのだ。また一人ひとりが商人のように利に敏い。日本へ行くことになれば、なぜだか爆買いの資金をたちまち手配してしまうのだ。中国には、経済統計以上に強靭な個人と、その裏資産が存在しているようだ。

中国人には、まだまだ欲しいモノはたくさんある。その意欲を隠そうとしていないし、非正規の金もたくさん持っている。SCに買い物客が集まらず、うら寂しいように見えても、単に店が多すぎ、大きすぎなのかもしれない。不況風に結び付けるのは早計だ。

今、中国人が抱える不安とは、株式、不動産価格の下落など“表資産”の毀損だろう。しかし、多少の損失は“裏資産”というクッションで、ある程度吸収できる。すぐに社会消費品小売総額に影響を及ぼす消費不況につながるとは考えにくい。(高野悠介、中国在住の貿易コンサルタント)

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