(写真=Amazon)

eコマースの王者アマゾンがスマートフォン開発を断念するという。潮時というべきだろう。

アマゾン <NASDAQ:AMXN> のスマートフォン事業参入は当初から失敗すると見られていた。eコマースの王者アマゾンも、市場への出遅れはどうすることもできなかった。消費者を引きつけるような際立った特徴もない割に(3D映像が売り物のダイナミック・パースペクティブはおまけレベルを脱していない)、他社と同じような価格設定で市場に出されたFire Phoneは、すでに安定した地位を築いているライバル他社との直接対決を強いられた。

アマゾンのある元幹部の言によれば、莫大な開発費用を要し、発売を何年も延期させることになったダイナミック・パースペクティブ機能に「とり憑かれたように」こだわったというCEOジェフ・ベゾスに責任を負わせたくなるところだ。発売後わずか数か月でアマゾンの在庫経費は1億7000万ドルにのぼったというのも無理はない。Fire Phoneが売れなかったのだから。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じたところによると、アマゾンはFire Phoneの販売を断念する。発売からわずか1年だが、今が潮時だろう。


Fire Phoneの大失敗

アマゾンのハードウェア部門、ラボ126は数十人のエンジニアを一時解雇したと伝えられる。ラボ126の2つのハードウェア開発部をひとつにまとめる再編成も行われた。大画面タブレットや画像プロジェクターなど、いくつかの製品開発も棚上げされる見込みだ。しかしアマゾンは、音声認識機能で商品を注文できるコンピュータや、3Dインタフェースを応用したタブレット用の機能などのハードウェア開発プロジェクトには熱心に取り組み続けている。

ロイター通信が昨年報じたところでは、アマゾンはFire Phoneの評価損を計上し、この製品は失敗作であったと認めながらも、ラボ126スタッフを今後5年間で大幅増員する計画を発表したが、このことは今回の解雇と矛盾する。今までと違い、アマゾンは新規事業に際限なく予算をつぎ込むことを嫌っているようだ。コスト削減策によって、同社は前四半期におけるアナリスト予測を大きく裏切り、9,200万ドルの利益を計上、株価は急騰した。