(写真=PIXTA)
8日の寄り付き前に発表された日本の2015年4〜6月期実質GDP(国内総生産)成長率(改定値)は市場予想を上回り、速報値から上方修正されたものの、国内株式市場は下げ幅を拡大する不安定な相場展開を続けている。
ただ、新日鉄住金 <5401> 、JFEホールディングス <5411> が買われるなど、割安感の強まった一部の銘柄には注目する動きや、コマツ <6301> や日立建機 <6305> といった大きく調整した銘柄には物色の動きも出ている。
短期的には、11日にメジャーSQ (特別清算指数)算出日を控えることに加え、16日、17日には、FOMC(米連邦公開市場委員会)と、今年最大の注目イベントを控えるだけに、警戒感は否めない。
しかし、自民党の総裁選挙では安倍総理大臣が無投票で再選されたことに加え、安全保障関連法案の成立次第では、今後は経済、株価対策に再び力を入れることが期待される。
中国の景気動向などは注意が必要なものの、今3月期の業績見通しに対する進ちょく率が高く、直近の高値から大きく調整した銘柄の中には今後の反騰局面での大きなリバウンドが期待される。今回は、積水樹脂 <4212> 、日本精線 <5659> 、日本取引所グループ <8697> を紹介する。
積樹脂は“まるごと内需”で割安—中勢「ダブル底」の様相も
海外の影響をほとんど受けない、まるごと内需株の積樹脂。ところが中国リスクによる全般安に巻き込まれて株価は8月高値1767円から9月4日の1468円まで17%下落した。業績動向から見て、行き過ぎの「ツレ安」だ。7月9日の1451円安値との見合いでは中勢「ダブル底」入れの可能性も強まってきた。
防音壁など交通環境資材関連製品や防護柵(さく)をはじめとする景観資材関連製品、さらには住建関連製品は内需増に支えられ堅調に推移。今3月期第1四半期(4〜6月)連結決算は営業利益17億5900万円 (前年同期比7.1%増)、経常利益18億6700万円(同8.3%増)を達成した。
現在の調子だと、通期予想の営業利益97億円(前期比6.0%増)は超過達成が有望。8日現在、予想PERが10.3倍、PBR(株価純資産倍率)は0.82倍。年間配当は今期34円(前期33円)を予定し、2.2%台の配当利回りは魅力的な水準にある。
日精線は信用の整理が進ちょく—PBR0.6倍は割安顕著
日精線のPBR(株価純資産倍率)0.6倍、PER7倍台の株価は製造業として下値のほぼ限界だろう。同社は世界的に最も細い鋼線をつくる技術を持つステンレス鋼線2次加工のトップメーカー。対象分野は自動車、航空機、OA機器、電気製品、医療機器、建材、炭素繊維製造用フィルターなど多彩で、特殊ガスフィルターの「ナスクリーン」は半導体・液晶製造設備向けに推定7割の国内シェアを持つ。
今3月期第1四半期(4〜6月)はステンレス鋼線の流通在庫の調整が響いたが、「ナスクリーン」の好調持続で経常利益は8.2億円(前年同期比2.8%増)と計画を約1割超過。上期予想の14億円(同1.5%減)は増額の公算がある。
株価は波乱相場の中、期日迎えの売りが圧力となって下げ幅を広げた印象だが、昨年末59.7万株あった信用買い残は8月28日現在29.3万株に半減しており、間もなくその圧力も解消しそう。超高純度水素分離膜モジュールをはじめ水素社会の到来に向けた新製品開発は順調に進んでおり、中・長期的な好買い場を迎えそうだ。
JPXは相場軟調も業績は好調—ETF売買代金1兆円突破
JPXは、8月6日の年初来高値4480円から7日には直近安値の3280円まで下落。その下げ幅は約27%に達した。この間、日経平均株価が終値ベースで約14%下落したが、これを上回った。国内株式の下落が嫌気された形だが、足元の今3月期第1四半期(4〜6月)の連結営業利益は167億3700万円(前年同期比37.7%増)と好調であり、今後は見直しが進みそう。
現物の売買代金とデリバティブの取引高が想定以上。8月の東証1部の1日平均売買代金は3兆3023億円と、2013年5月以来の高水準。8月25日には、ETF(上場投資信託)の売買代金が1兆163億円と、初の1兆円を突破した。
変動の大きな相場展開を反映して日経平均レバレッジ上場投信 <1570> などの短期で値幅を取れるETFの活用が増えている。デリバティブ市場の取引高も同じく良好。通期の営業利益予想は485億円(前期比9.4%減)と保守的。(9月9日付株式新聞掲載記事)
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