アップルはネットフリックスをつぶしてしまうのか?

ライバル企業を恐れさせるような強みを、アップルは沢山持っている。アップルという一流ブランド名と熱心なファン、そしてクオリティーに対する評判は、新しいビジネスを成功させる上で、必要不可欠な要素である。
それに加え、アップルには、貸借対照表における現金預金及び流動的な投資が2000億ドル以上もあり、毎四半期ごとに収益が嫌というほど流れ込んでくるのだ。数字上ではコンテンツを制作するには、十分過ぎるほどの資金があるアップルに対して、ネットフリックスの株式時価総額は420億ドルだ。

オンラインビデオ業界は移り変わりが激しい為、ネットフリックスの株主達はライバルの動きがどのように影響するか、逐一観察する必要がある。アップルの映像ストリーミング業界への進出は、軽視するには大きすぎるという事だ。そうは言うものの、アップルがわすか数年でネットフリックスを超えるという保証はない。

ネットフリックスは、既にストリーミングのリーダーとしての座に君臨しており、質の高いコンテンツを提供することで、この業界ではライバルから一歩抜きんでた位置づけにある。第2四半期末には、視聴者6500万人、前四半期だけでも3280万人の新規加入者を獲得している。また、マネージメントは、国際的な事業拡大を2年計画で進めている。こうしたすべてが、ネットフリックスが中期にかけて急速に、順調に成長を続けることを、約束しているかのように見える。たとえアップルがこの業界で上手く成功をおさめたとしても、必ずしもその勝利がネットフリックスの損失につながるというわけではない。アップルは色々な業界で、予想プライシングの上限を競うパターンが多いが、ネットフリックスは月8.99ドルという低価格をウリにしている。

ここ数年、従来のTV放送には多チャンネル放送が入り込む空間がたっぷりとあったのと同様に、オンラインストリーミングにも、アップル、ネットフリックス、そして他の企業が、それぞれのビジネスモデルと価格戦略を展開させるチャンスが十分過ぎるほどにある。

ネットフリックスは、若くて発展中の企業であり、各企業がどのような戦略を持っているかを見極めることは重要だ。しかしネットフリックスが人気コンテンツを低価格で提供しつづける限り、アップルに蹴落とされる心配はないだろう。

アンドレス・カルデナル(Andres Cardenal) (提供: The Motley Fool