風力発電

(写真=Thinkstock/Getty Images)

Corporate Social Responsibility−−日本語で「社会的責任」と訳されるその言葉は、それぞれの頭文字をとって「CSR」と呼ばれる。CSRは株式投資の世界で、もはや欠くことのできないキーワードである。たとえば、最近話題になっているVWショックは、社会的責任に反する行為が引き金となって世界の株式市場に波及したものであり、その影響で一時は同社の時価総額の3分の1が吹き飛ぶ事態にまで及んでいる。VWショックは、企業にとっても、投資家にとっても、CSRがいかに重要なものかを示した出来事と言えよう。こうした状況だからこそ、いま改めて欧州企業におけるCSRの取り組みについて考えてみたい。

欧州におけるCSRの取り組み

VWはともかく、欧州の先進企業の多くは経営トップからCSR部門、従業員に至るまでCSRに対する重要性を理解し、進むべき方向のベクトルを合わせることができている。

このような先進企業がCSRを行う背景には、今後世界がメガトレンドと呼ばれる大きなリスクに見舞われるという予想がある。具体的には、人口増加、気候変動、エネルギー、資源の枯渇、水不足、食料不足、生態系衰退、森林破壊などである。特に人口増加については、新興国において中流層が2030年には現在の20億人から50億人まで増加し、これが食料や資源の需要に影響を与えることが考えられ、水を含む資源確保の競争が強まる懸念がある。

先進企業は、これら人類が直面している大きなリスクに対応することも含めて、企業を取り巻く株主・顧客、従業員、NGOといったステークホルダーとコミュニケーションを図り、CSRを企業戦略として実施していくことで、長期的視野での企業活動について持続可能性を確保することができると考えているのである。

メガトレンドリスクに向き合う欧州企業

このような世界のメガトレンドのリスクに対応すべく、欧州では統一したCSRの定義があり、政策として実施されている。いわゆる、欧州2020戦略と呼ばれる「知的な、持続可能な、包括的な、経済成長」による、就業率向上、温室効果ガスの排出削減、貧困削減などを2020年までに達成する目標を立てているのだ。さらに、この欧州2020戦略を支えるものとして2011年10月には「欧州CSR新戦略」を打ち出しており、欧州経済危機をCSRの活用で乗り切ろうとしている。

この戦略の中でCSRは「企業の社会への影響に対する責任」と定義され、①株主、広くはその他ステークホルダーと社会の間で共通価値の創造(CSV)を最大化すること、②企業の潜在的悪影響を特定、防止、軽減することを推進するとしている。またその上で「社会」「環境」「倫理」「人権」「消費者の懸念」を企業活動の中核戦略に統合することも促している。

また、CSRを意識して企業活動を行っていく際は、結果だけではなく、その過程も重要とされているのも大きな特長だ。それは長期戦略の中で計画的に実行され、社内のみならずサプライチェーン上においても行っていくことが求められている。