家計調査の詳細:労働力人口は大幅に減少

家計調査のうち、9月の労働力人口は前月対比で▲35.0万人(前月:▲4.1万人)と大幅に減少した。内訳を見ると、就業者数が▲23.6万人(前月:+19.6万人)と大幅な減少に転じたほか、失業者数も▲11.4万人(前月:▲23.7万人)と減少した。非労働力人口は+57.9万人(前月:+26.1万人)と前月から大幅に増加ペースが加速した。

一方、9月の失業率は、小数第1位までみると5.1%と前月と同水準となったものの、第2位までみると5.05%(前月:5.11%)と前月から低下し、FRBの長期目標水準(4.9%)が視野に入ってきた(図表5)。もっとも、前述の通り、労働参加率は更に悪化しており、失業率の低下は額面通りに評価はできない(図表6)。労働参加率や賃金の動向をみれば完全雇用とは程遠い状況だろう。

9 月米雇用統計 図5-6

次に、9月の長期失業者数(27週以上の失業者人数)は、210.4万人(前月:218.7万人)となり、前月対比では▲8.3万人(前月:+0.7万人)と3ヵ月ぶりに減少に転じた。さらに、長期失業者の失業者全体に占めるシェアも、9月は26.6%(前月:27.7%)と、こちらも3ヵ月ぶりに低下した(図表7)。一方、平均失業期間は、26.3週(前月:28.4週)となり、こちらも3ヵ月ぶりに改善した。

最後に、周辺労働力人口(192.1万人)(*3)や、経済的理由によるパートタイマー(603.6万人)も考慮した広義の失業率(U-6)(*4)をみると、9月は10.0%(前月:10.3%)と前月から0.3%ポイントの低下となった(図表8)。また、通常の失業率(U-3)と広義の失業率(U-6)の差は4.9%ポイント(前月:5.2%ポイント)と前月から0.3%ポイント低下した。広義の失業率は08年5月(9.7%)以来となる2桁割れが視野に入ってきた。

9 月米雇用統計 図7-8

(*1)季節調整済の数値。以下、特に断りがない限り、季節調整済の数値を記載している。
(*2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に対する労働力人口(就業者数と失業者数を合計したもの)の比率。
(*3)周辺労働力とは、職に就いておらず、過去4週間では求職活動もしていないが、過去12カ月の間には求職活動をしたことがあり、働くことが可能で、また、働きたいと考えている者。
(*4)U-6は、失業者に周辺労働力と経済的理由によりパートタイムで働いている者を加えたものを労働力人口と周辺労働力人口の和で除したもの。つまり、U-6=(失業者+周辺労働力人口+経済的理由によるパートタイマー)/(労働力人口+周辺労働力人口)。

窪谷浩
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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