欧州における多国籍企業への課税制度見直しにともない、米スターバックスに41億円、伊自動車メーカーFiatにはスタバ以上、271億円未満の賦課課税が適用される可能性が高いことが、欧州メディアをにぎわせている。

スタバは反論「法的に定められた税金を納めている」

長い間“グレーゾーン”として見過ごされてきた多国籍企業による海外収益課税。多国籍企業の多くは節税策として税率の低い国で納税する傾向が強く、国によっては減税取引きに応じているなど、度々問題の焦点として挙げられていた。

最近では米コカ・コーラがアメリカ合衆国内国歳入庁(IRS)に2年分の海外収益に対する課税処分を受けたほか、昨年は米ペプシや米ウォルト・ディズニー・カンパニーなどを始めとする多数の企業が「ルクセンブルク政府から税制上の優遇を受けている」と報道された。

欧州委員会の調べによると、スターバックスは何百万というユーロを『技術料金』という名目で非課税対象となっていた英国の子会社に流用し、オランダでの納税額を最小限に抑えていたという。これに対してスターバックスは「法的に定められた33%の法人税を支払っている」と反論。オランダ政府、ルクセンブルク政府、Fiatは沈黙を守っている。

両社の賦課課税問題に関する決定は、欧州連合競争法の執行委員、マーグレーテ・ヴェスタア氏によって今週中に下される予定だ。

スタバは41億円、Fiatは最大で271億円の課税も

一昨年Appleがアイルランドの税制の抜け穴を利用し、巨額の課税を回避し得た事実が明るみにでた際、「課税が執行されれば徴収総額は何十億ユーロにものぼる」という懸念の声が弁護団からあがった。

しかし今回のスターバックに関しては「オランダの法人税率(25%)ではなく、有効税率(2.5%)を納めていたと見なされるのではないか」と推測されており、3000万ユーロ(約40億6175万円)が課税額に見積もられている。Fiatのケースはさらに深刻で、本来の税率(29%)に対してルクセンブルクの税率(1%)を適用していたため、総額はスタバ以上かつ2億ユーロ(約270億7836万円)未満だと予測されている。

次に狙われるのはAmazonやApple?

今後欧州委員会ははほぼ全てのEU加盟国に税法規を提出するよう要請し、調査の対象とする意思を示している同時に、各国における税制上の優遇策を禁ずる動きも出ている。ヴェスタア氏はスターバックスとFiatの見直しを「氷山の一角」とし、AmazonやAppleをはじめとする何百という企業に調査の手を伸ばす構えである。

弁護団は今回の捜査を「これまで課税回避に成功してきた企業への見せしめ行為」と形容しており、「ヴェスタア氏はこれを機に、多国籍企業の節税行為に本格的な圧力をかけるだろう」とコメントしている。 (ZUU online 編集部)