ノルウェー,不動産投資
(写真=PIXTA)


ノルウェー政府年金基金が東京の不動産取引開始

2014年にジョーンズ・ラング・ラサールが行った世界主要都市調査によって、東京は世界一の不動産市場と言われるようになった。調査から1年を経過した2015年においても、世界の東京に対する注目度はまだまだ高い。ノルウェー政府年金基金も2015年10月に東京の不動産取引を開始することを表明した。アジアでは東京とシンガポールで物件を探すと宣言している。投資規模としては6000億~9600億円と言われており、東京の不動産市場がさらに活性化することが期待される。投資対象は東京のオフィスと限定しており、大阪や名古屋などに広げる計画はないようだ。

ノルウェー政府年金基金は、北海油田からの収入を原資として運用するノルウェー政府のファンドだ。彼らはノルウェー国内の企業の株式市場に投資し、多くのノルウェーの大企業の筆頭株主になっている。実はこのファンド、ノルウェー企業の株主だけではなく、多くの日本企業の株主にもなっている。

2014年には日本の企業の1527社に投資しており、その企業数も年々増えつつある。例えば、グリー <3632> 、ぐるなび <2440> 、楽天 <4755> 、カカクコム <2371> といった馴染みのある日本企業の株を保有していおり、日本そのものに対する投資は新参者という訳ではなく、株式市場で日本を十分熟知した上での不動産市場への参入なのである。


その他、国内外の団体における東京の不動産投資

その他の国外の投資家で目立つ動きと言えば、やはり台湾の投資家だろう。台湾の最も著名な投資サイトである『cnYES』によれば、台湾投資家による2014年の日本不動産投資額は約540億円と言われている。台湾投資家の特徴としては、親日派が多いことが挙げられる。そのため必ずしも経済的な理由だけで日本に投資を行っているわけではなく、4割弱の投資家が「日本が好きなので将来的に住みたい」と考えており、親日志向も大きな要因になっている。

エリアは東京が一番人気ではあるが、大阪や福岡も人気がある。小ぶりな区分マンションから一棟ビルまで投資規模も幅が広い。また風水文化が根強いことも特徴で、例えばコンビニが一階にある物件は運気が上昇するという理由で購入に踏み切るということもある。そのため日本の投資家では出せないような高い金額で物件を購入するケースもあり、不動産価格上昇に一役買っている。

一方で、国内投資家の中では私募リートの台頭が目立ち始めてきている。私募リートと言っても、そこに投資している出資者は国内の年金基金が主だ。私募リートは上場リートのような株式市場との連動性は低いため、安定した収益が期待できることが投資家としての狙いだ。そのため大手不動産会社や商社が手掛けている私募リートには、投資マネーが集まりやすい状況が続いている。私募リートは、やはり都内の物件が中心だ。都内の物件を優先的に確保しつつ、利回りの高い地方の物件も混ぜ合わせながら購入している。


なぜ東京の不動産取引が盛んなのか

ではなぜ、これほどまでに世界中の投資家が東京の不動産市場に注目するのであろうか。ノルウェー政府年金基金は、東京への投資を公表した際、東京が「グローバルなビジネスが集結し、長い目で市場の成長が期待できる」エリアであることを理由として挙げている。

同様な意見は他の調査でも見られる。2014年8月に国交省が発表した「海外投資家アンケート調査」によると、投資理由の1位としては「不動産市場の規模」で、2位は「不動産投資関連制度の安定性」、3位は「不動産市場の流動性」となっている。市場成熟度の高さが評価されているのだろう。

また東京は、東京オリンピックで注目されているだけではなく、安全性や住みやすさでも評価されている。2015年6月に英国の情報誌「Monocle(モノクル)」が東京を世界一住みやすい都市として発表したのは記憶に新しい。その中で、東京は「驚くべき巨大都市であるにもかかわらず、治安が良く、静かだ」と指摘し、「世界で最も安全な都市である」と評価されている。犯罪率や医療インフラ、教育、自然環境、公共図書館の数などを評価基準に、東京は多くの項目で高い評価を得ている。

その他にも、カントリーリスクの低い国であり、外国人を狙い撃ちした規制もなく、個人の財産権が法により保障されている。外国人の不動産の所有も原則自由となっており、投資しやすい環境であると言える。

東京都の舛添知事は「東京を世界中から人材、資本、情報が集まるグローバルビジネスの場として生まれ変わらせることで、都市の活力をさらに高める」というビジョンを表明している。世界中から投資マネーが集まってきている東京は、このビジョンに一歩一歩近づいていると言えるだろう。

東京の安全性は日本人の文化が生み出したものであるから、それが認められ国際市場から評価を得ることは誇らしいことである。持続可能な街づくりというのは一日にしてならずである。これからも東京が世界一の街へと飛躍し続けることを期待したい。(提供: Vortex online

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