Active seniors in nature
(写真=PIXTA)

会社を60歳よりも前に退職し、老後の生活を楽しむ早期リタイア。子供が独立し、教育費を心配する必要がなくなった時や、会社内での役職が外れ、第一戦から退いた時などに決断する人が多い。早期リタイアするために一番重要なのはリタイア後の家計収支について考えておくことだ。今回は、早期リタイアする前に確認すべき項目について考えてみよう。


ゆとりある老後に必要な金額は?

生命保険文化センター「平成25年度生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後の生活する場合、ゆとりある毎日を送るためには、月額35.4万円の生活費が必要となる。さらに早期リタイアの場合は公的年金をもらえるようになるまで時間がある分、より多くの資金を準備しておかなければならない。

公的年金の繰り上げ支給制度もあるが、早くから年金をもらってしまうと支給額が毎月減額されてしまうことも覚えておこう。厚生労働省が発表している厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)は月額22.1万円。年金がもらえるようになってからも、この金額だけではゆとりある老後を送るのは難しく、毎月不足額の13.3万円は自分で用意しておかなければならない。


退職後のマネープラン

早期リタイアする前に、今後予想される具体的な出費を計算し、今ある貯蓄や、退職した時にもらえる退職金、そして公的年金や保険で、これからの出費をまかなえるかどうかを確認しよう。子供が学校を卒業して独立し、夫婦2人の生活となった家庭の場合、今後予測される主な出費は以下のとおり。

(1)    生活費(食費、光熱費、被服代など住居費以外のもの)
(2)    住居費
(3)    医療費・保険料
(4)    レジャー費
(5)    その他・交際費(冠婚葬祭や子供の結婚資金援助など)

(1)生活費については、子供が独立していると現役時代に比べ負担が減っている場合が多い。しかし、例えば車や電化製品など、長年使ってきた家庭内の消耗品が壊れて買い替えが必要になり、予想外の出費がかかることもあるので、ゆとりをもっておくことが必要となる。

(2)住居費については、持ち家か賃貸か、さらに持ち家の場合、マンションか一戸建てか、そしてローンは完済しているのかによって、今後の費用が大きく変わってくる。持ち家で、ローンの返済が終わっていない場合は、早期リタイアした際の退職金などで、一括返済してしまおう。ただし退職金を全てローン返済に充ててしまうと、その後の生活が苦しくなる場合があるので、やはりローンがあるうちはなかなか早期退職に踏み切れないかもしれない。

持ち家でローンの返済が終わっている場合は、賃貸住宅に比べ毎月の出費が少なくて済む。しかし、持ち家であっても、マンションの場合は管理費用や駐車場代金などのコストが毎月かかってくることを頭に入れておこう。一方、持ち家の一戸建ての場合は、月々の管理費用はかからないが、長年住んでいた家をメンテナンスするために、適宜修繕費用が必要となる。屋根の補強や水道管の交換など、まとまった金額を用意しなければならないことも多い。自分のケースに当てはめて、しっかり見積もりを行うことが重要だ。

(3)医療費・保険料については、自分が加入すべき保険とその保険料を確認しよう。会社を早期リタイアした場合、一般的には、国民健康保険に加入することとなる。会社員時代は、保険料を会社が半分負担してくれていたが、リタイア後は夫婦2人分の保険料を全額自分で支払わなければならないので、現役時代に比べ保険料が上がる可能性が高い。今より負担が大きくなることを覚悟しておこう。

(4)レジャー費用について、自由な時間ができたリタイア後には、旅行に出かけたり、趣味にお金を使ったりする人も多いだろう。このレジャーに使う金額は、人によって大きく異なってくるが、早期リタイアを希望する人は、退職後に、具体的な目的がある場合が多い。旅行やゴルフ、習い事など、自分がやりたいことには、具体的にいくらかかるのか、見積もりを出しておくと懸命だ。

(5)その他・交際費(冠婚葬祭や子供の結婚資金援助など)は、一番計画が立てにくい項目かもしれない。早期リタイア後は、この費用を多めに見積もっておき、日々の生活費以外にゆとりがあるお金を用意しておこう。子供の結婚資金の親や親族からの平均援助費用は、「ゼクシィ結婚トレンド調査2015」によると162.4万円。地域によっても異なるが、子供の人数に合わせて事前に用意しておくと安心だ。


早期リタイア後も適度に働き収入を

会社を早期リタイアしたとしても、自分で独立してビジネスを始めたり、パート程度に働いたりと、多少でも収入があるかどうかで、その後の生活は大きく変わってくる。会社員時代ほど収入がなくても、月10万ほどの収入があれば、毎日の生活費に充てたり、マンションの管理費用や駐車場代金に充てたり、趣味の旅行に充てたりと、マネープランにも余裕が出てくるだろう。完全にリタイアするのではなく、適度に働き収入を得るセミリタイアの方が、老後の生活には安心だ。いきなり仕事を辞めるのではなく、自分のペースで働き続ける道を模索してみてはいかがだろうか。

公的年金だけでは、ゆとりある老後の生活が送れない時代、早期リタイアするには、しっかりとしたマネープランが必要。家族ともよく相談し、人生の後半戦の過ごし方を決めるようにしよう。 (ZUU online 編集部)

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