東南アジアおよび欧州の中で危険な国――インドはテロ危険度6位
日本から出張で比較的行く人が多い東アジア、南アジア、東南アジアやヨーロッパの国々の中で、テロの危険度が高い国はどこだろうか。
これらの国々の中で上位30カ国以内に入ったのは、インド(6位)、タイ(10位)、フィリピン(11位)、中国(22位)、バングラディシュ(25位)、イギリス(28位)、ギリシャ(29位)である。特にテロ指数が高かったインドとタイ、さらに欧州でトップとなったイギリスについて詳しくお伝えしよう。
インド6位 1日2件以上のテロが発生
インドでは昨年、テロによる死者数は前年比1%増の416人となり微増だったものの、テロによる死者数およびテロ事件発生件数は2010年以降では最多だ。同国では昨年763件のテロが発生し、前年比20%増となっている。
インドで発生したテロ攻撃の大半は、犠牲者が少数にとどまっている。2014年に発生したテロのうち、約70%は死者が1人も出なかった。インドには殺りくを行わないテロ組織が多数存在し、昨年インドでのテロに関与した50のテロ組織のうち、28組織は1人も殺害していない。裏を返すと少数のテロ組織により多くの人が殺害されているということだ。
インドにおけるテロ組織は3種に大別できる。「ナクサライト」と呼ばれる極左過激派、イスラム過激派および分離・独立主義過激派だ。このうちテロを最も多く引き起こし、死者も最も多く出しているのはナクサライトであり、昨年は同テロ組織により172人が命を落とした。
これは昨年インドで発生したテロによる死亡総数の41%に当たる。なおナクサライトは、極左思想に基づき貧困層や下位カーストの権利保護を掲げて武力闘争を行う左翼過激派グループの総称だが、インド共産党毛沢東主義派(マオイスト)がその大部分を占めているとされる。
イスラム過激派によるテロの大半は、同国ジャム・カシミール州で発生しており、同テロ組織により昨年は57人が犠牲となった。これは昨年インドで発生したテロによる死亡総数の14%に当たる。
カシミール地方は南がインド領土のジャム・カシミール州、北がパキスタン領土のアザドカシミール州となっているが、古くからこのインド側カシミールをめぐり、インドとパキスタンの間で領有権が争われており、過去には戦争が勃発している。1989年以降はパキスタン側につくイスラム過激派がテロ活動を同地域で展開している。