タイ10位 マレーシア国境付近に注意

タイでは昨年、テロ事件発生件数が前年比16%増の366件となり、史上最多となった。一方、テロによる死者数は156人となり、255人を記録した2009年のピーク時よりは少なかった。

同国において、テロ事件の発生はマレーシアとの国境に近い深南部に集中しているが、この地域ではタイからの分離独立を目指す反政府イスラム武装勢力とタイ軍事政権の間における衝突が続いている。同国では全体としては仏教徒が大半だが、深南部ではマレー系のイスラム教徒が大半であり、そうした背景から同武装勢力が同地域の仏教徒や政府支持派との衝突を繰り広げている。

衝突が始まった2004年以降、推計5000人の死者および1万人の負傷者が出ている。同国においてテロ事件は局所的に発生しており、昨年は全76県のうちテロ事件が発生したのは18県のみであるものの、11県のみでテロ事件が発生していた2013年より発生地域が拡大している。

テロ事件が集中する深南部は、ナラティワート県、ヤラー県、パタニー県等で構成されているが、いずれの県も人口は100万人以下とさほど多くない。だが同国の首都かつ人口最多のバンコクにおいて、昨年テロ事件の発生が急増したことは特記すべきことだろう。

昨年バンコクにおけるテロの発生件数は58件となり、前年の9件と比較して実に5倍となった。これはバンコクにおける発生件数としては、記録に残る中では最多だ。昨年は発生件数の割には死者数が少なく、昨年バンコクでテロにより死亡した人は9人のみだった。だが、今年8月にバンコク内にあるヒンズー教の祠(ほこら)、エラワン祠にて爆発テロ事件が発生しており、20人が死亡した。

イギリス28位 1年で欧州最多の102件のテロ

イギリスでは昨年、テロによる死者数は0人だったものの、発生件数は欧州最多の102件となっており、12件発生して欧州2番目の多さだったドイツと比べてもその多さが分かる。

昨年イギリスで発生したテロの大半は北アイルランドで発生しており、カトリック過激派アイルランド共和軍(IRA)の分派である「真のIRA」によるものだ。同テロ組織は1998年より活動を行っており、アイルランドの独立を目指している。
欧州全土において、昨年のテロによる死者数は19人だった。これは世界全体の0.06%に当たり、全体から見るとかなり少ないと言える。しかしながら前述のとおり、イギリスでは昨年、欧州の中では桁違いに多い数のテロが発生しており警戒が必要だろう。(ZUU online 編集部)