豪シンクタンクの経済平和研究所(IEP)が発表した2015年度版の「世界テロ指数(GTI)」で、 日本は最下位の124位となったことが分かった。気になる上位の順位は1位イラク、2位アフガニスタン、3位ナイジェリア、4位パキスタン、5位シリアと中東・アフリカが並んだ。

同報告書は2012年と2014年に発表されており、今回の発表は3回目に当たる。2015年版の同報告書では、過去15年間の世界のテロにおける傾向やパターンに関する概要が述べられたほか、2014年の1年間に発生したテロの回数や被害者数などを元に、世界162カ国がランク付けされている。

世界テロ指数(GTI)は、世界162カ国における直接的あるいは間接的なテロの被害を総合的に調査し、指数化したものだ。調査項目には、テロによる死亡数、負傷数、物的損害数、精神的な後遺症を持つ人の数などが含まれる。世界人口の99.6パーセントは、この調査の対象となっている。

同報告書は、テロに関するものとしては今日最も信頼できるデータソースである、グローバル・テロリズム・データベース(GTD)を元に各国のテロ被害に関する総合的なスコアが算出されたもので、被害の大きい方から順に各国のランク付けも行われた。GTDは、米メリーランド大学内にある調査教育機関、「テロ及びテロ対応研究全米コンソーシアム(START)」により作成されている。

2014年の傾向 ISより多くの死者を出したテロ集団の存在

テロは増加の一途をたどっている。死者の総数は、2014年には3万2685人に達し、前年の1万8111人から80%も増加している。死者のうち、過半数の78%強はテロ指数の上位5カ国である、イラク、ナイジェリア、アフガニスタン、パキスタン、シリアにより占められていた。

発生は少数の国に集中していたものの、被害国の数は増加している。2014年はテロ被害国数が過去最多となった。昨年は93 カ国でテロ攻撃が行われたが、2013年の88カ国から増加している。2011年以降テロ攻撃の被害国の数は年々増加しているが、昨年もその傾向を引き継いだ。

また、テロにより500人以上の死者を出した国の数も2014年には11カ国と、2013年の5カ国から120%増加している。特にナイジェリアでは昨年5662人以上の人々がテロにより死亡し、前年比で300パーセント超の増加と、記録に残る中では過去最大の増加率となった。

なお意外かもしれないが、2014年はナイジェリアのイスラム過激派組織「ボコ・ハラム」の攻撃による死者数が前年比317%増の6644人となり、イラクとシリアにまたがる過激派組織「イスラム国」(IS)による死者数である6073人を上回っている。

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