ワゴンR
(写真=SUZUKI)

小さな子どもがいるママの移動手段はクルマが中心--。

2015年にリクルートが女性対象に行ったアンケート「カーセンサー クルマのある生活調査2015」によれば、外出時の移動手段としてクルマを選ぶ割合は、子供を連れていない時は47.3%だが、子供を連れて外出する時は56.1%となり、8.8ポイントも高くなった。

さらにクルマを運転するママだけに対象を絞れば、移動の手段としてクルマを選ぶのが、子ども連れでないときは51.1%であるが、子ども連れになると70.4%と19.3ポイントも増加する。とくに若いママたちにとって、クルマは便利な移動手段なのだ(2015年9月実施の)。

具体的にどんな車種が人気なのだろうか。結婚している30代を対象にした調査では、1位は「スズキ ワゴンR」、2位は「ダイハツ ムーヴ」、3位は「ダイハツ タント」、4位は「ホンダ フィット」、5位は「BMW」という結果だった。軽自動車や小型車など、燃費の良さや維持費の安さ、荷室の広さ、安全性能の高さが重視されている。そして女性が運転しやすいクルマであることも上位に入る要素として不可欠だ。

シーンと予算に合わせたクルマ選び

30代夫婦の家族では乗車人数が都度変化するケースが想定される。このため「何人まで乗れるのか」という点を気にするケースが多いようだ。

家族4人に祖父母がいれば6人以上乗りが必要だし、近所の子供たちを乗せてスポーツに出かける場合もあるだろう。乗り降りのしやすさから、3列シートでシートアレンジが多彩なミニバンも視野に入るはずだ。

1.5L以下のSサイズなら「トヨタ シエンタ」や「ホンダ ジェイド」、2.0L/1.8LのMサイズなら「トヨタ ノア/ヴォクシー」が挙げられる。

子どもを抱いたまま荷物を持ってドアを開けたいという人には、「ダイハツ タント」が好評だ。ミラクルオープンドア、超ロングスライドなるものを採用しており、ベビーカーをたたむことなく積むことができるからだ。

「ホンダ N-BOX」は、両側スライドドアで、どちらからも乗り降りがしやすいうえ、高さのあるチャイルドシートへも子どもを乗せやすい。また「ワゴンR」が打ち立てた軽トールワゴンのゆるぎない地位を奪う存在として出現してきた、「タント」や「N-BOX」、「ウェイク」といった“スーパーハイトワゴン”であれば、体の大きな男性もゆったりと過ごすことができる。

車体価格が安い軽自動車や小型車にも、安全機能が標準装備となっているモデルが多く出ている。「タント」や「ウェイク」の衝突回避支援システム、スマートアシストや、「シエンタ」のToyota Safety Sense C、「ワゴンR」のレーダーブレーキサポートなど、100万円台のクルマとは思えないような安全装備の充実ぶりが目を引く。

女性目線のクルマに人気が集中

30代に限ったことではないが、女性目線のクルマが支持される流れが続いている。

小さな子どもを幼稚園・保育園に連れていく、買い物に行く機会が多ければ、クルマ選びに関しては女性の意見が強くなる。ひと昔前は、クルマ選びに彼女や奥様の意見が反映されることは少なかったように思うが、最近では最終決定権は女性にあることも多い。

このためか、国産車はマーケティング面から女性から支持される要素を取り込むことが必須だ。たとえ運転はすべてパパがするとしても、女性の意見を無視してクルマの購入に至ることはまれだろう。

運転するのが主に女性の場合なら、軽自動車のように小さなボディで視界が良いことがアドバンテージになるだろう。小回りが利くので車庫入れが簡単だからだ。運転に自信がなければハイパワーである必要はない。運転のしやすさで言えば、ボンネットが短く着座位置が高く、ハンドルのキレ角が大きいミニバンも好まれる。

また、4代目「プリウス」が40.8km/Lという燃費を出したことで、小型車や軽自動車の燃費競争も激しくなるだろう。軽自動車では「スズキ アルト」が37.0km/Lと、車体価格が倍近くするプリウスに追いつこうとする勢いだ。

「ワゴンR」は、発進後から加速時にモーターでエンジンをアシストするS-エネチャージを採用し、33.0km/Lを達成している。

堅実志向で情報収集能力の高い30代に喜ばれるクルマ作りはメーカー側にとって難しい。だがその厳しい基準を満たすクルマが出せたときには、大ヒットになるだろう。(ZUU online 編集部)