様々な角度から有望銘柄を選別

(A)業績好調も、株価が大きく下落し割安感が強まった銘柄

まず、業績が好調なものの、株価が大きく下げ、予想PER等でみて割安感が強まってきた銘柄について考えたいと思います。下の「共通条件」は、今回の「好業績」とは何を指しているのかを示しており、(B)~(E)でも共通して使っている条件です。最終的には、表2の銘柄から下落率(2/10時点)の大きい上位2銘柄を表1の一覧表に採用しています。

日本株投資戦略2

☆スクリーニング条件

◎共通条件
(1)東証一部上場で時価総額1千億円以上(金融を除く)の3月決算企業
(2)2015年10~12月期の営業利益が、市場コンセンサスを上回っていること
(3)2016/1/20以降、今期予想営業利益(市場コンセンサス)が増加していること

◎個別条件
(4)2015/12/30から2016/2/10までの下落率が、同期間の日経平均下落率(17.4%超)を下回っていること
(5)今期予想PERが市場予想平均を下回る14倍未満であること
(6)来期、アナリストが営業増益を予想していること

以上の全条件を満たす銘柄を株価下落率が大きい順に5銘柄掲載。予想PERや来期予想営業利益は、Bloombergが集計した市場コンセンサス(2016/2/10時点)

(B)業績好調で、予想配当利回りが高い銘柄

業績が好調で、予想配当利回りも高い銘柄です。丸紅は、商社の業績予想下方修正が続く中で、今期の業績予想を維持していた点が目立ちました。ただ、沖電気については中国ビジネスでの不透明感が織り込み切れたとは言いにくいため、表1の銘柄としては、ひとつ下の東京エレクトロンを採用しました。半導体製造装置業界は、苦戦が目立つ電気機器業界の中で相対的な好調さが目立ちました。

日本株投資戦略3

☆スクリーニング条件

(1)「スクリーニング1」の「共通条件」をすべて満たしていること。
(2)上記の結果抽出された銘柄を今期予想配当利回りの高い順に5銘柄選び出した結果が表3となっています。予想配当利回りは、Bloomberg集計の予想一株利益に対して計算した数値です。

(C)業績好調で、純資産を考慮すると割安な銘柄

業績が好調で、時価総額と純資産を比較した時に割安感が目立つ銘柄です。すなわち、PBRが低い銘柄です。大和工業は、鋼材市況の悪化が逆風ですが、原燃料価格の下落が追い風です。中東事業に一抹の不安は残りますが、相対的には業績が堅調です。なお、第2位の丸紅は(B)と重複するため、三菱ケミカルHDとしました。

日本株投資戦略4

☆スクリーニング条件

(1)「スクリーニング1」の「共通条件」をすべて満たしていること。
(2)上記の結果抽出された銘柄をPBRの低い順に5銘柄選び出した結果が表4となっています。PBRに使われる「純資産」はBloombergデータを用いています。

(D)業績好調で、来期も業績拡大が期待できる銘柄

今回「業績が好調」の条件にしたのは、2015年10~12月期の営業利益が、市場コンセンサスを上回っていること、2016/1/20以降、今期予想営業利益(市場コンセンサス)が増加していることの2点でした。すなわち、今期の業績については、下方修正リスクが小さいものとしています。ここでは、さらにアナリストが来期も大幅増益を見込んでいる銘柄としました。

日本株投資戦略5

☆スクリーニング条件

(1)「スクリーニング1」の「共通条件」をすべて満たしていること。
(2)上記の結果抽出された銘柄を来期予想増益率の高い順に5銘柄並べたのが表5になります。

(E)業績好調で、波乱相場でも流動性に不安の少ない大型主力銘柄

好業績の超大型株を選び出すためのスクリーニングです。流動性に優れているため、予想外に市場が混乱した場合も、換金が容易と考えられます。なお、NTTドコモとNTT(日本電信電話)について、今回は固定通信の回復を評価する意味で後者を表1に採用しました。

日本株投資戦略6

☆スクリーニング条件

(1)「スクリーニング1」の「共通条件」をすべて満たしていること。
(2)上記の結果選択された銘柄を時価総額の大きい順に5銘柄並べたのが表6になります。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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