2016年4月からジュニアNISAスタート
いよいよ2016年4月からジュニアNISAがスタートする。既に口座開設の受け付けは始まっているため、お子さんやお孫さんのために口座開設したという方もいらっしゃるのではないだろうか。
ジュニアNISAとは、日本に居住する19歳以下の方が利用できる、投資で得た売買益や配当金が非課税となる仕組みの「未成年者少額投資非課税制度」をさす。成年が利用できるNISA制度は、2014年1月にスタートした。金融庁の調べでは2015年9月末段階で957万5445口座もの開設が行なわれている。果たして、ジュニアNISAもこれに続き開設する人が多くなるのか、注目の的となっている。
今回は、ジュニアNISAとNISAの違いをまとめるとともに、ジュニアNISAをうまく活用するためにはどうすればよいのか解説していきたい。
NISAは年間120万円、ジュニアNISAは年間80万円
まず、毎年投資可能な限度額がNISAとジュニアNISAでは異なる。NISAは2016年から年間で120万円までの投資が可能となっているが、ジュニアNISAは年間80万円までとなる。
このため、例えば親子で口座をもち、父親120万円、母親120万円、子どもが2人であればそれぞれ80万円までの投資が1年間で非課税対象となる。かつ、2016年以降8年間にわたって利用できる。すべて新規のお金で投資を行うならば、上記例であれば3,200万円分の投資となる。なお、投資した年から5年以内に売却すれば売買益やその間の配当金は非課税となるため、それを元手に再度次の年の投資にまわす方法も可能である。
投資対象はNISAもジュニアNISAも同じ
投資対象は、NISAもジュニアNISAも同じである。上場株式、上場投資信託 (ETF) 、上場REIT、公募株式投資信託、上場新株予約権付社債、上場優先出資証券が投資対象となる。ただし、具体的な取扱商品については、各金融機関によって異なるため、確認する必要があるだろう。NISA、ジュニアNISAともに口座が開設できるのは証券会社、銀行、郵便局などである。
さて、ジュニアNISAについてもう少し深堀していきたい。ジュニアNISAでは1人1口座、1金融機関のみで開設可能である。これはNISA口座も同じであるが、NISA口座では途中で金融機関の変更ができるが、ジュニアNISAでは金融機関の変更はできない。当然、複数の金融機関では口座開設ができないことになる。また、ジュニアNISA口座の運用管理は原則として親権者等 (両親または未成年後見人) が代理して行うことになる。
ジュニアNISAの注意点〜余った枠は次の年に繰越し不可
この他、NISA口座も同様ではあるが、1年間に投資上限額まで利用しなかった場合には、余った投資枠は次の年に繰り越せないことにも注意したい。ジュニアNISAにおいても、発生した譲渡損失は損益通算・繰越控除の対象外となる。つまり、NISAもジュニアNISAも利益が出て初めてメリットが生じる口座設計となっているのだ。損失が出ても何の意味もない。そのため、いかに利益を出すか、何で運用するかが重要となってくる。
もう一点、ジュニアNISAのポイントを説明しておく。ジュニアNISA口座に入れたお金は、原則として子供が3月31日時点で18歳である年の、前年の12月末 (一般的には高校3年生の12月末) まで払い出しができない。仮に途中で引き出したいという場合には、過去の利益に対して課税されることになるため、非課税の恩恵はまったくうけられなくなってしまう。ただし、災害等やむを得ない場合には、非課税での払い出しが可能となっている。
なお、投資して売買益や配当金を得た場合は、払出し制限付き課税口座で管理される。この払出し制限付き課税口座内で、投資を行うことは可能であるため、18歳まで時間があるのであれば、売買したお金を滞留させるのではなく、運用を継続することも検討しよう。
NISAとジュニアNISAをうまく使い分けよう
ここで気になるのが、ジュニアNISAをどう利用するかということ。賢い利用の仕方としてポイントを三つ挙げておきたい。
まず一つめは、株式投資を中心にタイミングを見計らい、5年間の非課税期間をうまく活用することだ。
5年間あれば、上昇する時もあれば下落する時もある。そのため、ある程度利益が出たら売却することも検討したい。もちろん、業績の良い企業に投資を行うスタンスであれば、中長期投資で着実に値上がり益を狙うこともよい。これは、NISA口座でも同様だ。
二つめは、NISA口座とジュニアNISA口座をうまく使い分けること。
例えば、同じ企業の株式を購入するのであれば、NISA口座でまとめて買うのではなく、例えばNISA口座で100株、ジュニアNISA口座で100株といったように分けて購入しよう。こうすることで、株主優待が2倍になるケースが出てくる。つまり、親子で受け取ることができるわけだ。家族4人でそれぞれ分けて買えば、4つ受け取るといったことも可能となる。
優待目的でないという方であれば、三つめのポイントとしてあえてNISA口座とジュニアNISA口座で保有する金融商品を分けるといったことも考えてみよう。いわゆる分散投資をうまく利用するのだ。
NISA口座とジュニアNISA口座を一体として考えて、違う株式、違う投資信託を購入し、リスクを分散させる。こうして考えれば、子どもが2人いる家族の場合、1年間で400万円分 (父120万、母120万、子供80万 × 2) のポートフォリオ構成を考えることになる。もちろん、すべて利用する必要はない。教育費など必要な資金を考慮したうえで非課税口座をうまく使うことが重要だ。家族全体の資産運用と考えて、複数の資産にわけて運用しリスクをヘッジすることも検討しよう。
以上、ジュニアNISAとNISAの違いを確認しながら、ジュニアNISAを利用する賢いポイントを指摘した。利用できる仕組みはうまく活用して、資産をうまく構築していただきたい。
(提供:
大和ネクスト銀行
)
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