ジブリの法則を検証

ここでは、ジブリの法則を検証してみましょう。2011年7月以降の放映日と翌営業日の日経平均株価の前日比を長期でピックアップしたものが下表です(小数点以下四捨五入)。

全35例中、放映日の翌営業日にプラスとなったのが19回、マイナスとなったのが16回です。前日比の平均は約マイナス13円で、アノマリーというほどの実績はありません。確かに2013年ごろは200円以上下がることも複数回ありましたが、2014年には100円以上下がることはなく、「ジブリの法則」をつぶやく人もあまりいなくなりました。

ジブリ世代の株式投資術-表1

ただ、2015年8月21日の「おもひでぽろぽろ」放映翌営業日の895円安以降は再び、放映翌営業日の市場のボラティリティが明らかに上昇しているように見えます。ジブリの呪いが復活してきているかもしれません。

ジブリの法則の謎とき

ジブリの法則は、実は『金曜ロードSHOW!』で放映されているというところに鍵があるようです。放映時間は午後9時から11時頃までです。

金曜日といえば、米国の雇用統計が発表されるのは、日本時間で毎月第1金曜日の午後10時半(サマータイムなら同9時半)です。金融市場を見ている人なら誰もが注目していることもあり、ご存じの人も多いのではないでしょうか。

ということは、確率から言えば約4回に1回は、ジブリ作品の放映中に雇用統計が発表され、為替や米国株が大きく動いているのです。

ジブリ作品を見ながらトレードしていた為替関係者や米国株関係者が、ジブリ作品を見ているといつも相場が大きく動くと思い、「ジブリの呪い」とつぶやき出したのがアノマリーのはじまりではないでしょうか。金曜日に為替や米国株が大きく動けば当然、翌営業日の日本市場のボラティリティも上がります。

そう考えるとジブリの映画と金融市場はまったく関係がないとも言えますが、“験(げん)を担ぐ”トレーダーやファンドマネージャーが多いのがこの世界です。アノマリーを気にしながらトレードするのも、一つの楽しみではあります。次回のジブリ作品の放映予定が怖くもあり、楽しみでもあります。(提供: お金のキャンパス

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