2016年2月16日、日本銀行は日本で初めてとなるマイナス金利政策を導入した。導入を決定した1月29日を境に、長期金利 (満期10年新発国債の流通利回り) は急低下をはじめ、2月9日には初めてマイナスとなるなどその影響はじわりじわりと広がってきている。
このマイナス金利は、何も民間金融機関が日銀に預ける準備金の一部や長期債だけに影響を与える話ではない。長期金利や短期金利をもとに決定される私たちの預金金利にも大きな影響を与えている。
2月22日からは、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の大手銀行3行の普通預金の金利はいずれも年0.001%となり、とうとう過去最低水準となった。これは、100万円預金した場合に、1年後に受け取ることができる利息が10円 (税引前) となることを意味する。さらに利息には復興特別所得税も加味された20.315%の税金が徴収されるため、税引後年利率は0.079%となり受取利息は7円となる。これでは時間外のATM手数料の方が高くなり、預金金利はマイナスではないものの実質マイナスとなる人も多くでてくることになろう。
外貨定期預金で利息を稼ぐ
それでは、こうした状況下において、資産を増やす・守るという観点からはどのような行動を考えるべきであろうか。株式や不動産まではリスクを取りたくないものの、ある程度の収益を得たいと考えている方には「外貨定期預金」をおススメしたい。外貨定期預金は日本の定期預金の金利と比較すれば高いケースが多く、また為替差益も享受できる可能性があるからだ。
まず、海外の金利について説明しよう。外貨定期預金の金利は、日本の預金金利同様、政策金利の影響を受けることになる。そのため、各国の政策金利の状況を俯瞰することで、どの通貨で預けることが金利という部分からメリットがあるか判断できる。
日本で人気のある外貨定期預金でいえば、2016年1月現在の政策金利が高い国はオーストラリア、ニュージーランドといった国々であろう。さらにいえば、資源国である南アフリカは特に金利が高い状況となっている。政策金利が高ければ、外貨定期預金の金利も一般的には高くなるといえる。
こうした国々は、海外から資金を呼び込むためや資本流出対策やインフレ対策のため金利を高く設定しているケースがある。この中で、プラス成長を遂げているのはオーストラリアだ。中国の景気減速や資源価格の下落にもめげず年2~3%の成長を遂げ、さらに金融危機時にも過去最低の政策金利とはいえ2%を保っている。
いまの日本の金利状況から見れば魅力的な水準といえるし、資源価格の下落は逆風だが今後の人口増加など追い風となる材料もある。こうしたことから、金利面、経済成長面からみれば、豪ドル預金は魅力的といえるかもしれない。
円安が進めば更に高い利回りが見込めることになる。仮に1豪ドル=80.55円で1年間預けたとし、1年後に1豪ドル=85.55円となっていれば、為替手数料と利息にかかる税金を除いた実質利回りは5.331%となる。
<政策金利の推移>
資源国通貨の外貨定期預金は資源価格次第ではキャピタル・ゲインも
外貨定期預金は、国によっては金利が高く、利息を多く受け取れる点が特徴であることは既に述べたが、こうした利益を「インカム・ゲイン」という。これに対して、もう一つ収益源となる観点がある。それは、預入時よりも満期時において、その国の通貨に対して円安となっていれば為替差益を得ることができる点である。この為替差益は「キャピタル・ゲイン (値上がり益) 」に該当する。
例えば、高金利通貨の代表ともいえるブラジルレアルや南アフリカランド、上記のオーストラリアドルなどは、インカム・ゲインだけではなくキャピタル・ゲインも得ることができる可能性がある。これらの国々に共通するのは、「資源国」であること。ブラジルやオーストラリアでは、鉄鉱石価格が上昇すれば、通貨高 (円安) となる可能性がある。また、南アフリカではプラチナ価格が上昇すれば、南アフリカランド高円安となる可能性がある。こうしたことからいえることは、資源価格がある程度底値をつけ、回復見込みとなっていけば為替差益も見込める可能性があるということ。
現状を振り返ると資源価格が下落するリスクは依然存在するものの、鉄鉱石価格は既にピーク時の1/3~1/4程度まで下落しており、下落余地は限られてくるのではないだろうか。こう考えると、高金利のメリットを享受しながらキャピタル・ゲインも狙う、高金利通貨をもとにした外貨定期預金は、マイナス金利の時代だからこそ検討したい資産運用方法といえるかもしれない。 (提供: 大和ネクスト銀行 )
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