【正確な学童保育児童数把握にむけた取り組み】
以上のような状況を受けて、2012年から国もようやく積極的な動きを開始している。
女性が安心して長く就業継続可能な女性活躍社会を目指し、その大きな壁となる「学童保育待機児童数の把握問題」を解決するために、一体どのような政策が打ち出されたのかを最後に示したい。
2012年の児童福祉法改正において、「市町村は、子育て支援事業に必要な情報の収集及び提供を行う」ことが明記され、子育て支援事業の1つである学童保育に関する地域のニーズの把握(=待機児童の把握)も法律によって自治体に義務化されることとなった。
同じく2012年、「子ども・子育て関連3法」の附帯決議により、「地域子ども・子育て支援事業については、住民のニーズを市町村の事業計画に的確に反映させる」、ことが要請され、各自治体はその行動計画に地域の学童保育待機児童数の把握方法等を盛り込むこととなった。
ただしこれまでは、施設によって待機児童の把握方法が異なってきた。これを踏まえ、待機児童のカウント方法に関しては2015年の厚生労働省省令によって、学童保育1施設における受け入れ基準のガイドラインが定められた。
このガイドラインによって、施設ごとのおおよその定員も明確となり、定員を超える応募数としての待機児童数を把握することがようやく可能となったのである。
以上の3つの法や省令によって、今後、今まで潜在化されてきた学童保育待機児童数を含めた、より正確な待機児童数を市町村が把握するようになると期待される。
これを機に、放課後の居場所を求めさまよう子どもたち、そして子どもの放課後の居場所が見つからず就業継続を断念せざるを得ない保護者たちが1人でも減ることを、心から願ってやまない。
(*1)2016年3月 全国学童保育連絡協議会ヒアリング資料
天野馨南子(あまの かなこ)
ニッセイ基礎研究所 生活研究部
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