海外投資が人気を呼ぶ理由として、日本国内への投資よりも高い利回りが期待できることが挙げられます。高い利回りを得るためにはより高い成長が期待できる国を探すことが重要です。
経済の成長率は人口の増加率と生産性の上昇率で決まると考えられており、人口の増加率は高成長を達成するための重要なファクターです。ただし、単純に人口増加率が高いからといって、成長率が高いわけではありません。人口の増加率は貧困率とも密接に関係しており、経済成長には基盤となる社会インフラの整備なども必要となります。
国連の推計によると、世界の人口増加率ランキング1位はオマーンで8.4%(2010年から2015年の平均値)となっています。レバノンの6.0%、クウェートの4.8%が続きますが、これらの国に投資することは現実的ではありません。実際に投資を考えるのであれば、ある程度の経済規模があり、金融や不動産などの産業が発達していることも条件となります。
今回は、人口の増加率に着目して今後の成長に期待ができる国を紹介するとともに、その国への不動産投資の可能性を検討します。
人口増加率で他を圧倒するアフリカ
人口の増加率を地域別にみると、アフリカが他の地域を圧倒しています。アフリカの人口増加率は2.55%と世界平均の1.18%の倍以上のスピードで人口が増加しています。さらに、2050年以降をみると、人口の増加はほぼアフリカに限られる見通しとなっており、長期的な人口増加が期待できるのはアフリカのみとなっています。
アフリカで最も注目されるのがナイジェリアです。人口は1.8億人と日本よりも多く、増加率は2.67%とアフリカの平均を上回っています。また、2050年には世界で3番目の人口大国となり、米国を越えると予想されています。
経済規模はアフリカ最大で、アフリカ全体の25%を占め、世界で24位とG20のすぐ下に位置しています。世界8位の石油輸出国であり、資源に恵まれたことがこれまでの成長を後押してきましたが、近年では経済の原油依存度が低下し、経済の多角化が進んでいます。その結果、金融・不動産業は国内経済の約15%を占めるまで成長し、国内には証券取引所のほか、アフリカにはまだ珍しい商品取引所もあります。
日本からナイジェリアの不動産へ直接投資をするにはまた情報が少なく、リスクが高いといえますが、次の海外投資先として大きな可能性があることは確かです。これからの動きに注目しましょう。
意外と高いオーストラリアの人口増加率
人口の増加というと、アジアや南米をイメージする人も多いのではないかと思いますが、増加率では意外にもオセアニアの方が高く、人口の増加率はアジアの1.04%、南米の1.05%に対しオセアニアは1.54%となっています。これにはオーストラリアの移民政策が影響しています。オーストラリアの人口増加率は1.57%と高く、人口増加の約6割が移民です。
ただし、単に人口を増加させることが目的ではなく、高学歴で高いスキルをもった移民を積極的に受け入れており、人口を増やしつつ生産性も高めることで高成長を目指しています。これは、人口増加による高い成長とその結果としての高い投資リターンを求める投資家の思惑とも一致します。
オーストラリアへの不動産投資は日本ではすでに一般化しており、実際に投資する際の壁は低いといえます。新鮮味にはかけますが、堅実な投資先として検討に値すると思います。
アジアの注目はフィリピン
アジアは世界人口の約6割を占めており、アジア抜きに人口を語ることはできません。インドは2022年までには中国を抜いて世界最大の人口大国となる見通しで、注目度は高いのですが、人口増加率は1.26%と世界平均と大きな差はありません。増加率に注目して東南アジアに目を移すと、シンガポールの1.97%、フィリピンの1.58%、マレーシアの1.51%が上位となり、一方、ベトナム(1.12%)、タイ(0.38%)などは意外と低いです。ただし、シンガポールでは、移民を中心とした人口の増加が社会問題化しており、人口の伸びは急速に低下する見通しで、既にフィリピンやマレーシアを下回っている可能性が高いです。
注目はフィリピンです。フィリピンの人口は2014年に1億人を突破し、人口増加率は1.58%と高い伸びを示しています。2023年には総人口で日本を上回ると予想されています。人口の伸びが高く人口構成が若いことから、ASEAN諸国の中では少子高齢化を迎えるのが一番遅く、人口ボーナスの恩恵を一番長く受けることから長期的に高い成長率が期待されています。
人口要因からも旺盛な住宅需要が見込まれており、比較的高い利回りが見込めることから、日本でもフィリピンへの不動産投資の人気は高く、首都マニラのほか、移住が比較的容易であることも手伝って、セブ島などのリゾート地も人気を集めています。
ラテン系に支えられる米国の人口増加
ラテン系は子沢山といわれていますが人口増加率をみると特に高いわけではなく、南米の増加率は1.05%と世界平均を下回っています。南米最大の経済規模を誇るブラジルをみても人口の増加率は0.91%にとどまっており、人口要因からの投資妙味が薄いといえます。
最後に、先進国では例外的に高い人口の伸びを示しているのがアメリカです。0.75%と世界平均には及ばないものの、2100年以降も人口が増加を続ける唯一の先進国とみられています。アメリカの人口増加を支えているのはラテン系の移民です。
アメリカへの不動産投資はいわば王道であり、長期的な人口動態からみてもアメリカへの不動産投資が有望であることが再確認できます。新興国への投資は、先進国と比べて経済の振れ幅も大きく、制度面でも発展途上にある分、リターンも高いといえますが、リスクを最小限に抑えた海外不動産投資を希望するならば、アメリカを選択肢の一つとして考えるといいでしょう。
(提供: フォーランドリアルティネットワークジャパン )
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