要旨
◆原油
原油価格は2月中旬以降、大きく持ち直してきた。相次ぐ生産障害、非OPECの減産と底堅い需要、米ドライブシーズンの到来、ドルの低迷という4つの要因が追い風になったためだ。
年内を念頭に原油価格の先行きを考えると、メインシナリオは、一旦40ドル付近まで下落した後、再び持ち直し、年末に50ドル付近まで戻るというシナリオになる(予想確率60%)。
投機筋のネット買いポジションが大きく積みあがっており、今後は利益確定の動きが出やすいなか、足下の生産障害の復旧、原油価格持ち直しに伴う米シェールオイルの生産再開、米利上げに伴うドル高がその材料になりそうだ。ドライブシーズンという押し上げ材料は季節要因に過ぎず、時間が経つにつれて効果が弱まっていく。従って、夏の間に一旦調整局面に入る可能性が高いと見ている。
ただし、構造的な原油需給は既に最悪期を脱しており、先行きにかけての需給改善観測も容易には崩れないと考えられるため、調整後は再び持ち直していくと予想される。
次に上振れシナリオは、今後も高値をキープし、年末にかけて上昇基調を続けるというシナリオとなる(予想確率30%)。このための条件は、需給が現在の想定よりも急ピッチで改善に向かうことだ。ただし、ハードルは高く、ドライブシーズン終了後の原油不需要期を乗り切らなければならないことから、実現性はあまり高くない。
最後に下振れシナリオは、今後下落基調に転じるシナリオとなる(予想確率10%)。このための条件は、需給の改善が想定よりも大幅に遅れる、もしくは悪化に向かうことだ。ただし、これまでの原油価格上昇の背景や現在の情勢から考えて、その実現性は低い。
◆市場の動きと予想
5月は米早期利上げ観測の台頭でドルが上昇、長期金利はほぼ横ばいであった。当面、ドル円は一進一退、ユーロドルはやや上昇。長期金利は追加緩和決定を受けてもう一段低下すると予想している。