米国とカナダの消費者4000人のうち8割が、ロボットアドバイザーに興味を示していることが、アクセンチュアの調査から明らかになった。

しかしその一方で、8割以上が支店での人間のアドバイザーや従業員による対面サービスを期待しているなど、現代の消費者がいかに実用主義であるかが浮き彫りになっている。

銀行は常に顧客の声に耳を傾け、迅速に対応することが求められる時代だが、デジタル化、マニュアル化に惑わされることなく、サービスのバランスをうまくとることが成功の決め手となりそうだ。

「ロボアドはFAから仕事を奪う」ではなく「減らす」?

ウェルス・マネージメント産業にすでに大きな恩恵をもたらしているロボアド。投資家は最高70%コストを抑えることが可能だともいわれている。

米投資分析会社セルーリ・アソシエイツによると、ロボアド市場は2020年までに5000億ドル(約51兆2550億円)に達する見込みだ。

今回のサーベイでは46%が「バンキングにロボアドを利用したい」と回答しているほか、79%がロボアドから「投資アドバイス」、74%が「最適な銀行口座の選択」、69%が「定年退職後の生活設計」についてのアドバイスを、ロボットアドバイザーに求めている。

特にテクノロジーとともに生まれ育ったミレニアル世代からの関心が高く、80%以上が3つの項目すべてに関心をよせている。

ロボアドを利用する最大のメリットとしては、50%が「手軽さと速度」、29%が「低コスト」を挙げている。

それでは銀行がロボアドさえ採用すれば顧客は満足するのか--というと、そこはまた話が別物のようだ。

今回のサーベイを含む多くの調査から、消費者はロボアドを「既存サービスの一部」と見なし、人間のファイナンシャル・アドバイザーとは切り離してとらえる傾向が強いことが判明している。

しかしこれだけで、近年世間を騒がせている「ロボアドが人間のFAから仕事を奪う」懸念が、ゼロまで薄まるわけではない。

従来は人間のFAが行っていた業務の一部(小口投資など)がロボアドに引き継がれるのだから、業務量が減るのは間違いないだろう。したがって「ロボアドが人間のFAの仕事を減らす」というほうが、より正確な表現なのかも知れない。