中国経済,抜本的改革
(写真=PIXTA)

2015年の経済概況(GDP)

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2015年の中国経済を振り返ると、経済成長率は実質で前年比6.9%増と2014年の同7.3%増から0.4ポイント低下、中国では経済成長率が緩やかに鈍化してきている(図表-1)。

この「6.9%」という成長率に関しては、もっと低いのでは?との見方もあって議論になっているが、開示された情報が限られる中では推測の域をでないと思われる。確かに言えることは中国経済に構造変化が起きていることで、筆者はそれを"ふたつの二極化"と表現している。

ひとつは第2次産業の伸び鈍化と第3次産業の堅調(伸び横ばい)という二極化である。中国では経済のサービス化が進行中で、3年ほど前から第3次産業の成長率が第2次産業を上回るようになってきているが、2015年にはその傾向がより鮮明になった(図表-2)。

第2次産業は人件費の上昇や人民元高の進行で競争力が低下してきており、今後も伸びの鈍化は避けられそうにない。一方、第3次産業にはまだ成長余地が多く残されており、最近でも8%台の高い伸びを維持できている。中国政府の政策スタンスを見ても、第3次産業を第2次産業に代わる新たな経済成長・雇用創出の柱に育てようとしている。

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もうひとつは投資の伸び鈍化と消費の堅調(伸び横ばい)という二極化である。これまで投資主導で経済成長を遂げてきた中国だが、消費主導へのエンジンの切り替えに挑戦中である。GDP統計を見ると、2015年には最終消費の寄与度が上昇した一方、総資本形成(投資)の寄与度は低下が続いている(図表-3)。

中国政府の政策スタンスを見ても、製造業の過剰投資(又は過剰設備)の解消を指導・推進するとともに、最低賃金の引き上げを通じた所得配分の調整を継続的に進めることで、投資主導から消費主導への構造転換を支援している。