ビジョナリー・カンパニーに見る経営者のスタイルの違いの事例

米国や世界の超優良企業の共通点を研究してベストセラーになった『ビジョナリー・カンパニー』(ジム・コリンズほか著)では、経営者のスタイルに関して面白い事例が述べられている。

ビジョンのある優良企業にはカリスマ的でアグレッシブなタイプの経営者は少なく、むしろ表に出るのを好まなかったり、普通より控えめだったりするというのだ。どちらかというと企業が永続するための組織文化を作るのに熱心であり、カリスマ的な指導者は長期スパンで害になるケースも多いとしたのだ。
考えさせられる研究である。

ただコリンズらも別にジョブズ型を否定しているわけではない。一面的なリーダー像は現実に即していないと教えているだけだ。

実際、高級ブランドの世界でもココ・シャネルなどはマス(大衆)志向であり、必要とあらばマスコミに露出した。自ら新しいモードを着込んで写真撮影させ、インタビューでの発言は新たな伝説を創ったのだ。

たしかに、企業経営者にもいろいろタイプがいて当たり前であり、CEOもそうした土壌から出てくる。経営者の個性が多様になっておかしくない。トップには時に特別視され幻想がもたれる。ジョブズ型やカリスマ的な指導者は分かりやすくマスコミも取り上げやすい。ここにもリーダー像を型にはめてしまう原因があるのだろう。

アップルは今好調だが……

徹底して秘密主義だったウィルスドルフ氏。かたやメディアの寵児だったジョブズ氏。今後の企業経営において、正反対の2つのタイプ、どちらが望ましいのだろうか。

現在アップルは好調だが、まだ生まれて40年。その間、IBMやキヤノンに買われる寸前までいったことを思えば、まだまだこの先は分からない。対してロレックスは2005年に百周年を迎え記念モデルも出した。ウィルスドルフ路線は長期の市場の風雪に耐えている。並のブランド品はユーズド市場に持ち込まれると二束三文になることもあるが、ロレックスはオークションに出そうが質に入れようが別格のブランド価値を保つ。

経営スタイル、経営者のあり方の評価も多様であるべきということだろう。(ZUU online編集部)

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