直近5年、売上高は一貫して増加
「しまむら」の直近5年の売上高を見ると、12年2月期で4664億円、13年4910億円、14年5018億円、15年5118億円、16年5460億円となっている。一貫して増加している。いまの規模では、この業界ではユニクロ(7156億円、14年8月期)に次ぐ2番手の売り上げ規模を誇る。3番手は、洋服の青山(1857億円、14年3月期)。
消費者が欲しいと思える商品を提供できたからだろうが、好調な業績を支える影には、多品種少量を基本としている意味は大きいものがある。
最大のメリットは、同じ品番の商品が1店舗に数枚しか置かないために、小さい街の商圏であっても、お客同志が同じ服で遭遇することはめったにないこと。これが商品戦略の強みとなっているのだ。店頭では同じラックの中に違う商品ばかりが掛けられていたり、棚を見れば違う商品ばかりが畳んで重ねられたりしている。
ライバルのユニクロは、少品種多量展示が基本。同じ品番で商品で同じカラーのサイズ違いを見せ場としているので、ラックの中も棚の上も形もカラーもきれいに整理されている。ただ他人と同じものを着ているという状況が生まれやすく、その点を嫌って避けるようになった消費者も少なくないようだ。
しまむらとユニクロの違いはまだあって、しまむらはメーカーからの買い取るというセレクト型で多品種、少量販売が最大の特徴といえる。
たとえば、商圏世帯数が小さな5000世帯前後のマーケットであっても300坪程度の面積で店舗を立ち上げる。そのため立地条件は悪いが、1店舗あたり3億〜3.5億円程度の売り上げを狙い、3年間で初期コストを回収する戦略なのだ。それに対しユニクロは、企画から製造・販売まで一貫して行うSPA型で少品種、多量販売を特徴としている。
株価は2006年以来の高値を付けたばかり
6月28日に1万5830円を付けたしまむら株。06年以来の高値だ。貸借対照表を見ると、配当余力が極めて高く、お金持ち企業であることが分かる。流動比率を見れば一目瞭然の430.8%。同業他社(総資本100億円以上)平均は240.3%といい、“ライバル”のユニクロは299.2%。
さらに自己資本のうちの配当に回せる利益剰余金が占める割合も87.9%といった具合。、しまむら株が市場で人気を集めていることを見ても、好調な業績と相まってバランスシートが投資家に再評価されているのだろう。
再デフレ化が叫ばれるなかで、低価格帯商品に強みを有する同社の評価が高まっていることは確かなようだ。(ZUU online 編集部)