しまむら
(写真=ZUU online編集部)

若い女性を中心に数年前に現れ始めた、「しまむら」の商品で着飾る「しまラー」と呼ばれる女性が増え、支持を集めている。2016年3〜5月期(連結)の純利益は前年同期比44%増の79億円と過去最高となり、春夏商品のパンツや女性向けの半袖衣料といったプライベートブランドの販売が好調なのだ。

競合他社では見ることができない差別化

1953年に埼玉県で設立されたしまむらは、ロードサイドを中心に安さを売りに成長してきた。メンズ、レディスともに取り扱い、下着やソックスといった実用衣料品を中心としながら、リビング、寝具、レジャー用品まで扱っている。ある意味でワンストップショッピングができる。

スタート直後は好調とは言いがたい状況だったが、2001年2月期に7期ぶりの減益に陥った時の経営改革から反転した。その内容は、世界のファッショントレンドを採り入れる商品展開を始め、市況を先読みするようになった。また本部の一括仕入れ体制や、パートタイム社員(従業員の8割程度)の業務の標準化、売れ残り商品を抑える在庫調整など多岐にわたる。これが今の好調につながっているのだろう。

商品がなくなっても追加補充はしない

品切れで在庫がなくなった場合でも、“基本的に追加補充は行わない”ことになっている。このような場合には、売れ残りのある店舗から売り切った店舗への商品移動をしながら、売り場の鮮度を保ち、売り切ることを徹底しているからだ。1単品からそのことを実施することで在庫の偏りをなくす徹底ぶりで、全店の売上データを単品まで細分化して管理しているのだ。

さらに、セントラルバイイング制(本部一括仕入制)により、3カ月先の先読みを行って品揃え計画を立て、100名以上のバイヤーが500社以上のサプライヤーから各店それどれの販売力を考慮して、原宿、渋谷、ニューヨーク、パリ、ロンドンといったところのファッションの最先端の街を常に観測しながら製品を仕入れているのだ。

こうした商品戦略は、競合他社では見られない差別化されたものとなっていて、他の人と同じ商品を着ているという可能性が極めて低い買い物ができるようになっているのだ。そのことが、好調な業績の原動力となって、「しまラー」を増幅させファッション性や話題性が高くなっているといえる。