孫正義,イーロン・マスク,太陽光発電
(写真=Thinkstock/Getty Images)

7月18日に英国の半導体大手ARMを買収したソフトバンクグループ <9984> の孫正義会長が描く「夢」はIT分野だけではない。ソフトウェア卸から、インターネット接続や携帯電話などさまざまな巨大な事業も手掛けてきた。さらに、最近の例では電力分野にも参入しており、ARMの買収で踏み込んだ半導体以外の分野でも、数々の事業運営を進めている。

太平洋を越えた向こう側、米国にも、巨大なスケールの起業家がいる。その一人が、電気自動車(EV)メーカーのテスラモーターズを立ち上げたイーロン・マスク氏だ。EVのほかにも、宇宙へのロケット打ち上げを行うSpace Xや、電子決済のペイパルなど注目の企業を立ち上げてきた。

その両氏に共通するのが、太陽光をはじめとした新エネルギーの電力分野に参入していることだ。両氏は祖業に拘らず次々と新しい事業を展開するという点で共通するが、電力市場は今後、どう変わるのか。両氏の電力事業を比較することで探る。

「エコ」の流れに乗り太陽光事業を進める両氏

孫氏はソフトバンクグループを設立して、インターネット事業、モバイル通信事業、ロボット事業などを次々と展開してきたが、東日本大震災による福島の原発事故などを踏まえ2012年に太陽光発電事業に参入した。

一方のマスク氏は、ペイパルを創業した後、イーベイに売却した資金を元手に電気自動車のテスラモーターズを創業。さらに現在では、太陽光発電による電力事業を行うSolarCityの運営も推進しており、大きなスケールで事業の創出を続ける日米の起業家が揃って太陽光に注目している格好だ。

ちなみに、太陽光発電など再生可能エネルギー事業は環境負荷が小さく社会的ニーズは大きい。具体的には、大手電力会社(送電会社)が一定価格で電力を買い取ることを保証する固定価格買取制度(FIT)など公的な支援を期待できるメリットがある。両氏が太陽光発電に取り組む背景には、風力なども含めた自然エネルギーの活用を推進する社会のトレンドを重視しているからかもしれない。

孫氏の太陽光世界プロジェクトとは?

ソフトバンクとSBエナジーは「おうち発電プロジェクト」として自社が保有する発電設備を利用者宅の屋根などに設置し電力販売を行う第三者所有モデルにより電力事業を始め、2012年12月に1000棟を募集した(現在は募集停止中)。20年契約で期間満了後は設置者に発電設備を譲渡することになっている。

その後、事業の軸足を第三者所有モデルからメガソーラー発電へ移し現在は全国22カ所のソーラーパークで発電しており、今後も施設建設を続ける予定だ。

孫氏は国内のみならず海外での事業拡大にも注力している。2015年6月にインドでソフトバンクと現地企業のバーティ・エンタープライゼズ・リミティッド、台湾のフォックスコン・テクノロジー・グループ(鴻海科技集団)の3社合弁で太陽光発電など再生可能エネルギー事業に取り組む計画を発表した。

例えば、2022年までに太陽光で100GW、風力で60GWの発電を目指すというインド政府の目標に沿い、今後10年間で2.5兆円弱を投じて、複数の大規模太陽光発電所を建設する方針が示されている。

太陽光発電には光を吸収するソーラーパネルが不可欠だ。高性能のパネルを安く安定的に調達することは競争に打ち勝つ上で極めて重要な要素となる。ソフトバンクが台湾フォックスコン・テクノロジー・グループと提携した背景には、同社が買収したシャープの太陽光発電やパネル技術の活用を期待する面もあるのではないか。