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(写真=Getty Images)

ソフトバンクグループ <9984> が今年も数々の話題で市場を賑わせている。実質的な孫正義社長の後継者の退任、英半導体設計企業の買収など、話題は尽きない。一方で、同社の格下げや相次ぐ社債発行など、楽観視できない要素も少なくない。攻めの姿勢を支える財務体質に問題はないのだろうか。

退任、買収……2016年だけでも話題は多い

6月には孫正義社長の後継者と目されていた、ニケシュ・アローラ副社長を退任させ、孫社長自身が当面、社長の座に留まる意向を示した。アローラ元副社長は、孫社長が自らの後任として白羽の矢を立て、165億5600万円の報酬を手土産に口説き落としたことをきっかけに、Googleからソフトバンクへ移った。大型の人事として、大々的に発表されたことも記憶に新しい。

次期社長候補の突然の退任による動揺が収まらない中、次に飛び込んできたのは英半導体設計大手ARM・ホールディングスの買収の報せだ。ブレグジットを決めた国民投票以降、経済先行きの不透明感が漂う英国でも、BBCがトップニュースとして伝えるなど注目を集めた。グローバル展開を見据え、攻めの姿勢を貫くソフトバンクは、買収の資金需要などに備えて大規模な社債の発行も予定している。

負債12兆円で格下げでも、グローバル志向は止まらない

ARM社の買収費用は約240億ポンド(約3兆3000億円)に上り、日本企業による海外企の業買収案件としては、過去最大規模になる見込みだ。今回の買収については、ARM社が強みを発揮する、あらゆるモノをインターネットにつなぐ「IoT」関連事業の拡大を視野に入れている。

ソフトバンクでは、9月末までにARM社の全株式を買い取り、完全子会社化する方針だ。買収資金は、2兆3000億円を手元資金で賄い、残りの1兆円をみずほ銀行からの借り入れで工面する。

ソフトバンクによる電撃的な買収劇は今回に始まったものではない。2013年には米携帯電話会社のスプリントを約216億ドル、当時のレートにして約1兆8000億円で買収した経緯がある。今回のARM社の買収と合わせて、わずか3年の間に、5兆円を超える資金を買収に投入することになる。

スプリントに続いてARMと、度重なる大型買収案件によって財務体質は悪化し、2016年3月末時点で、同社の有利子負債は連結ベースで約12兆円にも上る。

ARM社の買収発表を受け、日本の格付け機関であるJCRは、ソフトバンクグループの格付けを「クレジットモニター」に指定している。「クレジットモニター」とは、定期的な見直し以外に、大幅な業況変化や合併、訴訟など、いうなれば継続観察と適宜格付けの見直しを必要とする対象だ。

さらに、JCRはソフトバンクを継続観察の対象に加えるとともに、見通し方向を「安定的」から「ネガティブ」に格下げした。