メキシコ、ブラジル、チリ、コロンビア、ペルーなど中南米FinTechが加熱し始めている。

中でも巨大市場の成長する可能性を秘めたメキシコが再有望視されており、マイクロ融資スタートアップ、KueskiやKonfioなどのファイナンシャルサービスへの大型投資が目立つ。

「銀行へのアクセスが確立されていない」「スマートフォン利用者が急増している」という点で、人口4億2286万を超える中南米が、FinTech発展の理想的な舞台となることは疑う余地がない。

中流階層が増加傾向にあるメキシコは特に狙い目

米リサーチ会社eマーケターなどのデータでは、中南米のスマホ利用者は4億人。そのうち8割が2020年までには3Gへのアクセスが可能になると予測されている。

銀行口座を所有している成人は5割強。スタートアップを含む企業にとっては、従来の銀行システムに侵食されていない、真っ新な金融システムを構築できる絶好のチャンスだ。
近年急激に注目を集めているメキシコには、すでにデジタル送金サービスの先駆けであるPayPalや、米大手投資会社、ブラックロックといった国際大手企業が乗りだしており、7万5000ドル(約767万円)の資金が提供されるFinTech促進プログラム「Village Capital」の開催するなど、地元のスタートアップ支援に力を入れている。

マイクロ融資も活発化しており、今年4月にはKueskiが3500万ドル(約35億8155万円)の資金調達に成功したほか、翌月にはKonfioが800万ドル(約8億1864万円)を獲得。

ともに設立わずか数年、従業員数も200人以下という小規模な事業だが、従来の銀行融資を受けることができない中小企業に、新たな融資手段を提供している。

中国同様、メキシコでも中流階層が増加傾向にあり、サービス、製造産業が伸びを見せている。新たな投資対象として、FinTechに関心を抱いているメキシコ人投資家も多いようだ。

メキシコでは過去6年間で銀行口座所有者が1割増。現在全体の4割を占めるといわれているが、いまだに750万人の人々が金融システムへのアクセスを求めている。

大手国際銀行がコスト削減に走っている近年、従来型の銀行システムを普及させる余裕はないだろう。こうした現状だからこそ、FinTechの需要が飛躍的に高まると期待できる。