「成年後見制度」の問題点 後見人の使い込みに気づけない

成年後見人は、本人の財産の収支状況を家裁に定期的に報告する義務があるが、家裁が収支のチェックを細かくすることはほとんどない。このためかなり少数ではあるが、後見人による財産の使い込みなどの問題が発生している。

例えば、本人の不動産を無断で成年後見人の名義にしたり、第三者に転売したりすることも可能である。また通帳と印鑑を預かっているから、勝手に現金を引き出し、生活にかかる「経費」という形で使うこともできてしまうのだ。

成年後見人が本人の財産を勝手に処分したり使い込んだりした場合には、成年後見人を解任され、損害賠償を請求されたり、業務上横領などで刑事責任を問われたりする。

しかし、財産が不適切に管理されるという事実はなかなか発覚しにくい。使い込みが判明した時点で大半の財産が使われている場合も少なくない。そうなれば、損害賠償請求をしても、ほとんどの財産が戻ってこないことになる。

「成年後見制度」は、一人暮らしの親を持つ子どもにとってとても便利な制度である。親と離れて暮らしている場合、成年後見人が代理人として、責任を持って財産の管理や契約の締結・取消を行ってくれるから安心できる。

しかしこの制度は、成年後見人が良心にのっとってきちんと事務管理をしていることが大前提だ。子どもとしては、成年後見人任せにせず、選定された成年後見人と連絡を密に取り、親の財産の状態を常に把握しておくことが重要である。(行政書士I)

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