事業環境は堅調ながら下方修正への懸念払拭できず
村田製作所が7月28日に発表した第1四半期(4-6月期)の決算は、売上高が前年同期比7.1%減、営業利益が同23.9%減と減収減益となりました。
売上高はドル円が前年の第1四半期に比べ13円程度円高となったこともあって230億円余り計画に対し未達となり、営業利益は売価値下げを合理化効果や操業度益などで吸収したものの、円高のマイナス影響をなどでカバーし切れず前年の第1四半期から152億円の減少となりました。
したがって、円高を除くと足元の事業環境は堅調に推移しているといえます。第2四半期も北米顧客の新モデルの受注が7月に昨年を現地通貨ベースで上回っていることもあって、村田製作所では売上高は3360億円と、110円のドル円を前提として期初想定線上で推移するとみています。
このため売上高で前期比1.2%増収、営業利益で12.9%減益といった通期の業績見通しもドル円の想定レートを110円としたまま据え置いています。
しかし、為替感応度が35億円と小さくないことから足元の円高水準が続くと業績の下振れが心配されます。足元の円高を除いた事業環境に大きな懸念材料は今のところありませんが、大幅な円高によるマイナスをカバーできるほどの力強さもみられません。ドル円が想定レートの110円近辺まで戻らないと下方修正を懸念する状況が続きそうです。
金山敏之(かなやま・としゆき)
マネックス証券
シニア・マーケットアナリスト
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