顔認証技術を利用した高度サービスが、米消費者には不人気であることが分かった。
現在顔認証ソフトから個人情報を引きだし、顧客の名前、年齢、趣向などを、販売側のデータシステムに転送するという、一歩進んだサービスなどが多数考案されている。
これに対し、今年7月に米IT企業リッチレリバンス(RichRelevance)が実施したサーベイでは、1018人の米成人中67%が「その手のカスタマイズ・サービスは気持ちが悪い」と回答しており、テクノロジーを利用した過剰なサービスへの嫌悪感を示している。
デジタル世代ミレニアル層から最大の拒絶反応
米国ではついにモバイル・ショッピングが路面店やPCショッピングを上回り、67%の消費者に利用されていることが明らかになっている。
常々顧客獲得戦に精をだしているリテール側にとっては、「客を呼びこむ夢のデバイス」であるモバイルと、最新技術である顔認証システムを融合させない手はないというわけだ。
しかし以前から指摘されている「需要(企業)と供給(消費者)の隙間」が、リッチレリバンスの調査では顕著に表れている。
顧客情報をデータ化して取得することで、カスタマーサービスの向上に努めようというリテール側の意気込みは、肝心の消費者には「度を越している」「プライバシーの侵害」などと、ネガティブに受けとめられかねない。
過剰なデジタルサービスをよしとしない世代は、意外にも79%がモバイル・ショッピングを利用しているデジタル世代のミレニアル層で、71%が拒絶反応。顧客のスマートフォンやアプリが来店を知らせるサービスなども、64%が「やり過ぎ」と不必要であることを強調している。
高度なデジタルサービスを「便利」と見なすか「不気味」と見なすかは、基本的には個人の好みや年齢層によって異なるようだが、顔認証に関しては本来のセキュリティー目的にとどめておいた方が無難なようだ。