顔認証の「監視」イメージが不評の理由?

顔認証システムについては賛否両論があがっており、指紋認証や声認証、虹彩認識(瞳の虹彩パターンを認識する技術)といったほかのバイオメトリックとは、ある意味一線を超すものとして受けとめられているようだ。

顔認証自体を拒絶する消費者からは、「自覚のないまま、いとも簡単にプライバシーを侵害される時代になりつつある」といった懸念の声があがっている。

米市場調査会社、IHSによると、2014年の時点で世界中に2億4500万台の高性能監視カメラが設置されており、人々の「安全を守っている」。

ソーシャルメディアなどの普及で個人情報が溢れ返っている現代、テクノロジーの進化により、高解像度カメラとソフトウェアさえあれば、誰でもまったく見知らぬ第三者のアイデンティティーを特定することが可能になるといわれている。

一例をあげると、20社を超えるロシアのスタートアップが共同開発した「FindFace」というソフトでは、たった一枚のスナップ写真から、わずか数秒間で個人情報を入手することが可能だ。

このソフトは、ロシアで人気のソーシャルネットワーク「Vkontakte」にアクセスし、プロフィール写真とスナップ写真を照合することで、特定の人物を追跡するというシステムだ。

精度70%、ユーザー数50万人というFindFaceの設立者、アルテム・クハレンコ氏とアレクサンダー・カバコフ氏は、いずれも若干20代後半という若さだ。

すでに300万件以上の個人ユーザーによる「特定」が行われているというが、現在はモスクワ市役所との提携で、市内に設置された15万台のCCTVにFindFaceを導入する準備段階にあるという。

「安全性の向上」という理由で、世界中に張りめぐらされた監視の目。顔認証システムを利用したサービスに多くの消費者が乗り気でない根本的な理由は、「監視されている」というイメージに根付くものかも知れない。( FinTech online編集部

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