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(写真=PIXTA)

金融庁は、地方銀行が融資先の地元企業に十分な経営支援をしているのかを評価する指標を導入する。

主力行として取引している企業のうち、担保を取らずに融資している件数や経営状態が改善した事例を数値化して地域経済への貢献度を把握、金融仲介機能を改善するのが狙いだ。

政府が成長戦略の柱に据える地方創生には、地銀の積極的な貢献が欠かせないが、金融庁は十分な働きができていないとみている。地銀が体質改善し、地方創生に貢献できるよう大ナタを振るう思惑も見え隠れする。

客観的なデータで地域貢献度を把握

金融庁関係者の話によると、指標となる項目は50以上ある。このうち、無担保融資の件数、利益率や生産性など経営が改善した取引先数など5項目については、すべての地銀に算出を求める。

残りの項目には、M&A(企業の合併や買収)の支援数、取引先への人材育成支援件数、取引先への平均接触頻度などが含まれる予定。各地銀が地域の実情に合わせて複数の指標を選ぶ仕組みにする。

金融庁は年に1回、各地銀から報告を受け、客観的なデータとして各地銀の地域貢献度を把握する。金融庁関係者は「あくまで地銀との対話に役立てるもので、数値の改善を要求する意図はない」としているが、新たな監督行政の柱として導入するもようだ。

金融庁は島根県の山陰合同銀行 <8381> や北海道の北洋銀行 <8524> など地銀大手にたたき台を示し、銀行経営を適切に評価できるか協議したうえで、6月末の「金融仲介の改善に向けた検討会議」で素案を配布した。近く各地銀に指標を通知する。

続々と登場する地銀の地方創生事業

政府が地方創生を最重点施策の1つとして打ち出して以来、地銀は地方創生担当部署や窓口を設け、地方創生と前向きに取り組む姿勢を見せ始めた。

百五銀行 <8368> 、北国銀行 <8363> など東海、北陸の地銀6行が広域観光の連携協定を結んだのをはじめ、地方自治体や地元大学、経済団体、観光団体などと連携協定を締結する例が相次いでいる。

千葉銀行 <8331> は頭取を委員長とする「地方創生・地域活性化委員会」を設置するとともに、地方創生融資制度を設け、地域活性化事業を後押ししている。八十二銀行 <8359> は購入型クラウドファウンディングで事業者支援を始めた。鹿児島銀行は農業法人設立の意向を示している。

このほか、大学発ベンチャー企業向け投資ファンドへの出資、地方創生や移住、定住の支援セミナー開催、地方創生をテーマにしたテレビ番組の提供をするところもあり、各地銀のWebサイトを見ると、まさに地方創生花盛りといった感じだ。