50代に入って「運動優先」を宣言した
熊谷氏は現在52歳。見た目には40代前半と言われてもまったく違和感がないほどの若々しさを保っている。だが、そんな熊谷氏でも、50代に差しかかろうとした頃、身体の変化を感じたという。
「同じように運動をしていても、若い頃と比べて、筋力が落ちるのが早くなってきたのです。そこで私は、50代に突入したのをきっかけに、『これからは仕事よりも運動を優先する』と周りに宣言しました。
もちろん、それまでも毎日欠かさずに運動をしていましたが、どうしても仕事を優先せざるを得ない場面が多々ありました。けれども、『これからは仕事よりも運動を優先しないと、結果的に仕事のパフォーマンスが落ちていく』と判断したのです。
運動をしていることは、仕事にも間違いなくプラスになっています。ウォーキングをしたあとは血の巡りが良くなって、いろんなアイデアがどんどん浮かんできます。筋力があるぶん、背筋を伸ばして仕事に取り組めますから、疲れを感じることなく何時間でも集中できます。
ですから、これからも良い仕事をするために、あえて運動の優先順位を上げることにしたのです」
もう一つ、最近、熊谷氏が変えた生活習慣がある。それは、お酒の量だ。
「私はワインが大好きで、以前はつい飲みすぎてしまったことがよくありました。けれども、残りの人生の持ち時間を考えたときに、『自分がやるべきことをやるための時間をもっと確保したい』と思ったのです。そのためにはお酒の量を減らすのが一番です。深酒をすると、飲んだあとの時間が使いものにならないし、下手をすると翌日にも響きます。そこで3~4カ月ほど前から、ワインの量をこれまでの3分の1に減らしました。
これには一石二鳥の効果がありました。まず、量を少なくすると、お酒を飲んだあとでも仕事や勉強ができます。翌日の仕事のパフォーマンスも落ちません。
しかも、アルコールの摂取カロリーを抑えられるだけでなく、おつまみの量を抑えることもできます。これによって、短期間で体重を大幅に減らすことができました。ウエイトトレーニングをしていても思うように腹筋が割れにくくなっていたので、以前から『もう少し体重を減らしたいな』と思っていたのですが、今では目標体重にしていた63kgを実現しました。
お酒が大好きで、なかなか酒量を減らせずに困っている人も多いでしょう。コツは、量ではなく質を楽しむようにすることです。
私の場合は、ブラインドテイスティングといって、商品名を見ずに、そのワインの銘柄や産地、生産年を当てるというゲームを楽しんでいます。すると、自然とよく味わって飲むようになり、酒量が減っていきます。
健康管理で一番大変なのは継続することです。だからこそ、繰り返しになりますが、『自分はなぜ健康管理を重視するのか』という理由や目標を自分の中で明確にすること。それがあれば、最初のとくに大変な時期を乗り越えられ、次第に習慣化されます。そして、習慣になれば、さほど苦ではなくなります。『やっぱり健康管理は大事だな』と思われている方は、さっそく今日から始めてください」
熊谷正寿(くまがい・まさとし)GMOインターネット〔株〕代表取締役会長兼社長 グループ代表
1963 年、長野県生まれ。東証一部上場企業グループのGMOインターネットグループを率い、日本を代表する総合インターネットグループを目指す。グループは上場9社を含む87社、スタッフは4,800名を超す。2015年度財界「経営者賞」など受賞多数。主な著書に『一冊の手帳で夢は必ずかなう』(かんき出版)など。(取材・構成:長谷川 敦 写真撮影:永井 浩)(『
The 21 online
』2016年7月号より)
【関連記事】
・
40歳を超えたら、運動は「8,000歩/20分」のウォーキングで十分
・
40代からの「カラダ」見直し術
・
健康管理の決め手は自律神経と腸内環境
・
【元オリンピック選手が教える】本番で結果を出せる人、出せない人
・
ズボラでも続く! 「ふせんノート」で考える技術