
(写真=PIXTA)
規模の大小を問わず、2000年前後を境にM&Aの活発化が目立つ。M&Aというのは合併のMergersと買収のAcquisitionsとを指す略語なのだが、広義には合併や買収だけでなく、提携までを含めている場合もある。
M&Aの目的は、規模の拡大や事業強化、新事業への進出、企業再生、グループ再編、後継者対策など多様にのぼるが、ここではM&Aについて一通りの基礎知識を整理しよう。
M&Aの種類
M&Aの基本形は、合併と買収の2パターンだ。合併には新たな企業を設立する「新設合併」と、いずれかの企業が相手方を飲み込む形の「吸収合併」とがある。また買収には、一般的な「事業譲渡」以外にも、株式交換などの取引手段を駆使した「株式買収」も多用されている。さらにこの他、「新設分割」や「吸収分割」といった会社分割の方法を採っている場合も見られる。
これら「狭義のM&A」に対し、資本提携や業務提携を指して「広義のM&A」と呼ぶこともある。この場合業務提携には、その分野によって「技術提携」や「生産提携」、「販売提携」などがある。
合併と買収は 具体的にどこが違うのか
「合併」は、複数の会社が法的にも1社になってしまう場合だ。ただ、第三者間のM&Aでいきなり合併というケースは稀で、最終的には合併するにしても、買い手企業がまず株式を譲受することによって相手企業を100%子会社とした後に、時期をみて合併するといった場合が多い。
一方M&A用語としての「買収」は、買い手企業が他の企業を支配するために議決権の過半数以上を買い取ったり、事業部門を買収したりすることを指している。自社のみの努力で事業をスタートさせたり、もしくは強化を図ったりするような場合に比べ、コストの節減が見込まれるからに他ならない。