マイクロソフトとVisaという2大企業による大規模なプロジェクトによって、欧米FinTechに新境地が開かれようとしている。

マイクロソフトがスマート・コントラクトの安全性を改善する意図で、新たな研究グループを結成したほか、Visaの欧州研究部門がカナダのベンチャー企業、BTLグループと提携し、ブロックチェーンを活用した銀行間決済システムの実証実験を行う。

イーサリアム、R3CEVが参加予定の共同研究組織「Kinakuta」

近頃頻繁に耳にするようになったスマート・コントラクトとは、条件が満たされた場合にのみ取引が完了する「自動契約システム」のようなものだ。

最も身近な例では、駅で切符を購入する際、駅員に直接お金を渡して切符を受けとるのであれば「マニュアル(手動)」、切符販売機から購入するのであれば「スマート(自動)」と分類されることになる。

しかしいかにスマート(賢い)といえ、完璧なシステムでないことは、今年6月に5500万ドル(約56億9250万円)相当のETH(イーサ)が流出してしまったDAO事件でも、繰り返し語られていた。

この事件はDAOのコードの脆弱性を巧妙に利用した大型ハッキングだったが、「スマートコントラクトには脆弱性がつきもの」という認識を、世間に広める結果となった。

マイクロソフトはこうした脆弱性を改善し、スマートコントラクトの安全性を向上させるために、「Kinakuta」という名称の共同研究組織を結成。

ブロックチェーン技術をリードするイーサリアム・ファンデーション、ブロックチェーン組織「R3CEV」、ブロックチェーン・スタートアップのBlockAppsなど、35の企業や開発者をメンバーに加えることを予定しており、様々な角度から安全性を高める手段が検討される。

マイクロソフトは8月に発表したスマートコントラクトに関するレポートの中で、スマートコントラクト専用のプラグラミング言語の採用などを提案している。