2016年3月に発表されたUnion Pay(中国銀聯)とHuawei(華為技術)の提携関係が本格的に始動し、これまでは限定された地域でしか利用できなかった「Huawei Pay」が、中国全土で利用可能になる。

中国の決済市場を牛耳るUnion Payと、昨年は中国、欧州を合わせて1億800万台のスマホを出荷したHuaweiの提携は、アリババとテンセントは勿論、Appleやサムソンを脅かす巨大決済ネットワークの誕生を意味する。

一方、Huaweiと並ぶ人気のスマホメーカー、Xiaomi(小米科技)も、海外進出を視野に入れたモバイル決済サービスを開始した。

次世代モバイル・セキュリティーシステム「TEE」で安全性を向上

過去半年間にわたり、Huwawai Payのネットワーク拡張を進めてきた両社だが、昨年発売されたHuawai初のモバイル決済機能つきスマホ「HUAWEI Mate S」や、「Honor 8」「Honor V8」でモバイル決済が可能なほか、今後は対応機種を大幅に増やしていく予定だ。

すべてのモバイル対応機種にはセキュリティー・チップ、NFC(近距離無線通信)を搭載し、指紋認証システムと話題の次世代モバイル・セキュリティーシステム「Trusted Execution Environment (TEE)」を採用する。

TEEでは既存のハードウェアではなく、ARMプロセッサ上の安全空間でデータ処理を行うことで、より高い安全性が期待できるという点で、Huawai Payはライバルを一歩も二歩もリードするモバイル決済ブランドとなるだろう。

Union Payは今年7月、売上高が史上初めてVisaを上回り、「世界一のクレジットカード・ブランド」の座に輝いたことが報じられた、正真正銘の巨大決済企業だ。

モバイル決済市場では相変わらず「Ali Pay(アリババ)」が猛威をふるい、「WeChat Wallet(テンセント)」が後ろをピッタリとマークするといった状況が続いているが、今回の提携関係は、この構図をくつがえすレベルの影響を与えるも知れない。