米モルガン・スタンレーは数々の調査結果から、「IoT(モノのインターネット)が2017年の主要発展分野になる」と確信していることを明らかにした。
モルガンのリサーチ部門、アルファ・ワイズが2016年5月に実施した調査では、半導体産業の設計技師117人の90%が、IoT関連の開発プロジェクトに携わっており、どうやら新しいIoT商品ラッシュの到来が目前に迫っているようだ。
2017年には半導体が34兆円市場に成長
平均開発期間が1年から1年半であることを考慮すると、これらの商品は2017年から2018年にかけて完成する。つまりいまだかつてない規模の、IoTブームが期待できるということだ。
今後IoTの浸透とともに、マイクロコントローラ (MCU/コンピューター・システムを簡潔化し、半導体チップに集約したもの)の需要が飛躍的に伸び、半導体は来年、3300億ドル(約34兆2837億円)市場に成長すると予測されている。
日本でも2016年7月、ソフトバンクグループが英半導体企業、ARMを320億ドル(約3兆3244億円)で買収して話題を呼んだ。
モルガンはこれまで、IoTに関する数々のレポートを発表しており、将来的にはIoTが産業オートメーション・システムに多大な影響をおよぼすという見方を強めている。今後5年間にわたる成長見こみは8%から18%。
大量のデータを低コストで蓄積可能なクラウドと融合させることにより、IoTの無限の可能性が広がると期待されている。そこから米ゼネラル・エレクトリックの産業用ソフトウェア・プラットフォーム「Predixクラウド」のような、次世代ソフトも表舞台で活躍し始めるだろう。
こうした相乗効果も追い風となり、2020年まではモバイル・インターネットの成長が主流となるが、2030年までにはIoTの成長が優勢となるとモルガンは予想。
調査に協力した設計技術者にとって、IoTアプリケーションにおける最優先事項はコスト(47%)。次いでソフトやツール(46%)、パフォーマンス(42%)、エコシステムのサポート(31%)など。
また採用する側(企業)にとっては、回答した200人のエクゼクティブ中、オペレーションの改善(47%)、生産性の向上(31%)、新たなビジネスチャンスの創出(29%)、ダウンタイムの改善(28%)などを、重要事項としている。
モルガンの予想通り、普及に最適な環境さえ整えば、IoTはとどまるところを知らぬ広がりを見せ、これまで想像もつかなかったようなビジネスモデルが、次々に生まれていくのだろう。( FinTech online編集部 )
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