米国カリフォルニア州の公務員退職制度機関、CalPERSが、ブロックチェーンへの投資を検討中であることが、複数のメディアの報道から分かった。

CalPERSは数年前から数々のベンチャー企業に投資しており、こうした傾向は米国以外の民間機関にも広がりつつある。

順調にいけば将来はビットコインによる年金給付も可能?

「年金給付に備えての積立基金をブロックチェーン投資で」という案は、世界経済フォーラムのジェス・マックウォーターズ氏の主催によって6月下旬に開かれた会合で、未来の投資法の一環として公表された。

この会合ではマックウォーターズ氏が、ブロックチェーン開発やFinTechの進行状況についてプレゼンテーションを行ったほか、参加者による質問の時間も設けられるなど、ブロックチェーン投資への理解を深める目的で開催された。

CalPERSは早い段階からブロックチェーンへの関心を示しており、2009年にはシリコンバレーのベンチャー企業、Khosla Venturesに2億ドル(約206億7800万円)を投じたほか、Khoslaが支援していたシード(初期段階)プロジェクトにも、6000万ドル(約62億340万円)を追加投資した。

Khoslaはその後、資金調達ラウンドを通して、複数のブロックチェーン・スタートアップを支援している。

ブロックチェーンを年金の供給手段に活用するという試みは、米国外でも活発化し始めており、カナダでは大手退職制度機関、OMERSが、ブロックチェーンおよびビットコイン関連スタートアップ、Digital Currency Group の資金調達ラウンドに参加している。

このまま順調に各国に浸透していけば、将来的には年金がビットコインで支給される時代が訪れるかも知れない。

こうした新世代に向けた動きが評価されている反面、「新しいテクノロジーへの投資は、年金給付の積み立て目的に不向きではないか」と疑問を唱える声も聞かれる。

3030億ドル(31兆3211億円)の資産を運営するCalPERSだが、ベンチャー投資によるリターンは実際に期待されたような成果をあげていない。そのためCalPERSは、現在プライベート・エクイティ・ポートフォリオの5%を占めるベンチャー投資を、1%まで縮小することも検討していると報じられている。

ブロックチェーンの将来性への期待が高まる中、老後を支える大切な年金だからこそ、低リスクに徹するのが得策という考えにも一理ある。すべては今後のブロックチェーンの成功次第だろう。( FinTech online編集部

【編集部のオススメ FinTech online記事 】
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
就職先選びは慎重に?相次ぐシリコンバレーの「ブラック企業」
ロボアドサービスのウェルスナビ「より使いやすい見た目や操作感取り入れられるエンジニアを」
ニューヨーク大学経営学院で「FinTechMBA」コース開設
スタートアップのカンファレンス「Tech in Asia Tokyo 2016」開催