米信用組合、クレジット・ユニオン全国協会(CUNA)が独自の分散型台帳フレーム作成に向け、ブロックチェーン・コンソーシアムの結成を発表した。
55の信用組合に4大信用サービス組織を終結させ、ブロックチェーンの様々な可能性に挑む。JPモルガン・チェースやクレディ・スイスなどの国際メガバンクによる「R3」に匹敵する、巨大研究・開発組織の誕生だ。
商業的な成功ではなく、個人の利益を重視したプロジェクト
CUNAが統括する新コンソーシアムには、信用組合サービス機関、PSCU、保険会社、CUNAマチュアル・グループ、テクノロジー・シンクタンク、ベスト・イノベーション・グループなど、米国の金融産業を先導する大手企業や機関が加盟メンバーとして名を連ね、金融市場の効率化を図る意図で、分散型元帳技術の実用性を探索していく予定である。
40社で構成されているR3と同様のコンセプトだが、R3が2015年の結成以来、主に銀行業務へのブロックチェーンの採用を研究しているのに対し、CUNAコンソーシアムは信用組合の加盟企業向けの、より消費者側に立った開発を目指しているという。
CUNAのCOO、リッチ・ミード氏は、ブロックチェーンの2大コンセプト、「安全」と「スケール」に関し、コンソーシアム内で共同研究を通して突き詰めていく意向を示すと同時に、R3のような商業的な成功を意識したスタイルではなく、「各個人の利益に重点を置いたプロジェクトになる」とコメントしている。
調達された資金を元に、試験運転を実施しながら、ネットワークの骨組みとなる複数のノードを確立させることが最終目標だ。
消費者対応型という点を考慮し、まずはロシアのID認証スタートアップ、Evernymと提携し、ブロックチェーンを活用したID認証システムの開発に着手。信頼のおけるID認証システムを、信用組合のネットワークの一部として構成する計画である。
今後はほかのテクノロジー企業にも提携先を広げ、多様な角度から新たなインフラ構造を組み立てていく予定だ。大組織だからこそ成し遂げられる成果に、米信用組合からの期待が高まっている。( FinTech online編集部 )
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